研究分担者 |
長田 博文 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20177207)
樋口 保成 神戸大学, 理学部, 教授 (60112075)
志賀 徳造 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60025418)
吉田 伸生 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40240303)
種村 秀紀 千葉大学, 理学部, 助教授 (40217162)
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研究概要 |
本研究課題の大規模相互作用系とは,巨視的に観測される物理現象を微視的なレベルから説明し理解するために統計力学において導入される各種の数学モデルをいい,本研究の主目的は確率解析および非線形偏微分方程式論という2つの視点を統合して,このようなモデルを深く考察することにある. まず,研究初年度の開始にあたり,研究の確かな方向性を見極めることを目標として,7月17日〜26日の期間,神奈川県湘南国際村センターにおいて国際研究集会「大規模相互作用系の確率分析」を開催した.この機会にあわせてT. Bodineau教授(Paris大), Y. Velenik教授(Marseille大)を招聘した.いずれも大規模相互作用系の専門家であり,活発な議論が行われ大きな成果が得られた. 今年度の具体的な研究実績は以下の通りである.舟木は,相互作用を持つブラウン粒子系の低温極限の問題を考察し粒子が堅牢な格子構造を形成することを示し,その巨視的な運動を完全に特徴付けた.さらに,弱い自己ポテンシャルをもつ界面模型に基づく自由境界問題の導出について調べた.志賀は,d次元正方格子上の時空ホワイトノイズをポテンシャルとする放物型Anderson模型の標本Lyapunov指数のパラメータk→0における漸近オーダーを決定した.長田は,フラクタル空間上のブラウン運動の微細な性質を調べた.種村は,非交叉ランダムウォークに対する中心極限定理を示し,得られた拡散過程とランダム行列の関係を明らかにした.吉田は,ランダムウォーク,ブラウン運動に基づいて定義される統計力学の模型について相転移の研究を行った.ヴァイスは,ピンニングをもつ発展的特異極限問題についてdouble pinningの場合に拡張した.また,2相障害物問題の大域解を完全に特徴付けた.
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