研究分担者 |
長田 博文 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20177207)
樋口 保成 神戸大学, 理学部, 教授 (60112075)
志賀 徳造 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60025418)
吉田 伸生 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40240303)
種村 秀紀 千葉大学, 理学部, 助教授 (40217162)
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研究概要 |
巨視的に観測される物理現象を微視的なレベルから説明し理解するために導入される各種の数理模型を総称して大規模相互作用系という.本研究で特に今年度研究対象としたのは,格子界面模型,関連する確率偏微分方程式,ランダム媒質中のポリマー,無限個のブラウン粒子系,非交叉ランダムウォーク,Glauber力学,延焼模型等である.本研究の主目的は確率解析および非線形偏微分方程式論という2つの視点を統合して,このような模型を数学的に多面的側面から考察することにある. 今年度の研究実績を研究代表者および分担者について協力状況にも配慮しながら具体的に述べる.舟木は,デルタ関数を含む特異な項をもつ確率偏微分方程式について考察した.昨年度得られた弱い自己ポテンシャルをもつ界面模型のGibbs分布に対する大偏差原理およびそれに基づく自由境界問題の導出に関する成果を,時間発展を含む場合に拡張することを目標にしたものである.志賀と吉田は共同で,ランダム媒質内の向き付けられたポリマー(高分子)模型について,分配関数の減衰率とポリマーの局在化の間に成り立つ関係を明らかにした.長田は,相互作用をもつ無限個のブラウン粒子系のDyson模型について,各粒子は決して衝突しないことを厳密に証明した,種村と吉田は共同で,非交叉ランダムウォークの接触確率を高めるときに生ずる相転移現象を新たに見出した.さらに吉田は,Glauber力学の平衡状態への遷移について論じた.またヴァイスは,炎の伝播をモデル化した特異項をもつ偏微分方程式の研究を実施した. 舟木はフランスの確率論夏の学校およびケンブリッジ大学ニュートン研究所の確率論研究プログラムに参加し,研究成果の報告および多くの専門家との議論を通して研究方向の見極め等を行った.
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