研究分担者 |
村尾 裕一 電気通信大学, 電気通信学部, 講師 (60174265)
横山 和弘 九州大学, 理学部, 教授 (30333454)
高山 信毅 神戸大学, 理学部, 教授 (30188099)
齋藤 政彦 神戸大学, 理学部, 教授 (80183044)
小原 功任 金沢大学, 理学部, 助手 (00313635)
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研究概要 |
この研究により得られた結果は以下の通り. 1.b-関数計算の効率化および実装 超曲面の不変量のみならず,D-加群に関する種々の算法で重要となるb関数については,大阿久-高山により計算法が提案されているが,この算法を,より複雑な入力に対しても計算が効率できるよう改良した.主な改良点は,b関数を,ある作用素の最小多項式として直接計算するようにしたこと,入力に対して適切なweightを設定してグレブナー基底計算を行うようにしたことであり,いずれにも,有限体上の計算が応用されている.この算法を,研究代表者らが開発中の計算代数ソフトウェアRisa/Asir上に実装して効果を実証した. 2.有限体上の多項式因数分解算法の開発および実装 多変数多項式を有限体で因数分解する場合にボトルネックとなる,2変数多項式の因数分解において,グレブナー基底の概念を用いた新しい多項式時間算法を提案した.この算法を,有限体の原始根表現を用いてRisa/Asir上に実装し,効果を実証した.この実装をもとに,一般の多変数多項式の,小位数有限体上での因数分解機能をRisa/Asirに実装した. 3.正標数の場合のイデアルの極小素因子計算算法の開発および実装 正標数の場合,イデアルの極小素因子計算には,標数0の場合には生じない困難が生じるが,これを,イデアルに対するseparable closureの計算および,松本による根基計算算法により計算可能にした.有限体上のグレブナー基底計算,最小多項式計算,および上記多項式因数分解機能を応用して,Risa/Asir上に実装し,効果を実証した. 4.多変数超幾何関数の効率的数値計算法 多変数超幾何関数の数値を求める問題はあまり研究されていない.微分作用素環のグレブナー基底を用いて多変数超幾何関数の満たす微分方程式を数値計算しやすいように加工し,その値を効率的に計算する方法を提案した. 以上の結果は学術論文に発表されたことを付記しておく。
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