最適化における連続と離散構造の研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14340037
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 川崎 英文 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (90161306)
• 研究分担者: 大坪 義夫 高知大学, 理学部, 教授 (20136360) ; 岩本 誠一 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (90037284) ; 百武 弘登 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (70181120) ; 藤田 敏治 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60295003) ; 白石 俊輔 富山大学, 経済学部, 助教授 (60226313)
• キーワード: 共役点 / ヤコビ方程式 / リカッチ方程式 / ヘッセ行列 / 不確実性 / 動的計画問題 / 非線形計画問題 / 最適停止問題

研究概要

1.研究計画の中心に据えた「非線形計画問題に対する共役点理論」については、リカッチ方程式を導入し、それがヘッセ行列のピボットが満たす方程式に他ならないことを明らかにした。また、ヘッセ行列が定数三重対角行列になるような極値問題に対する共役点の解析をおこなった。
2.不確実性下での離散最適化問題に対して動的計画法の適用を図った。従来の期待値評価及び閾値確率基準、分散基準の動的最適化による最適解の構成とその広汎な応用例を開発した。さらに,政策に関する分類を行い、広範囲の動的計画問題を計算機上で取り扱うための理論的枠組みを構築した。
3.マルコフ過程における閾値確率型最適停止問題の最適値の特徴付けを行い、値反復法を与えた。また、閾値確率型最小化問題の最適値の特徴づけを行い、最適政策の存在に対する十分条件を与えた。さらにその結果を確率最短路問題に適用した。
4.非線形多目的計画問題に対するKKT条件をSlater条件を仮定せずに導出した。また、AHPにおける欠損一対比較行列の完備化問題を解くために、その基礎となる最適化問題の解の存在性を示した。
以上の研究成果に関して,国際シンポジウムで12件,国内の学会等で13件の発表を行った.雑誌論文以外の著述(講究録,紀要等)が6編ある.また,2つの国際シンポジウムにおいて,それぞれ1つのセッションをオーガナイズした.

研究成果

• [文献書誌] H.Kawasaki: "A conjugate point theory for nonlinear programming problems"the Proceedings of NACA 2001. (to appear)(印刷中). (2003)
• [文献書誌] 岩本 誠一: "ファジィ動的計画法"オペレーションズ・リサーチ. 47・5. 309-314 (2002)
• [文献書誌] 岩本誠一: "級数入門-経済数学へのプレリュード"経済学研究・別冊. 8. 92-95 (2002)
• [文献書誌] S.Iwamoto et al.: "Stochastic dynamic programming with range and ratio criteria"Proceedings of the 9-th Bellman Continuum. 22-28 (2002)
• [文献書誌] T.Fujita, S.Iwamoto et al.: "Minimization of variance on Markov chain"Proceedings of the 9-th Bellman Continuum. 192-198 (2002)
• [文献書誌] S.Iwamoto: "Optimal stopping in fuzzy environment"Proceedings of the 9-th Bellman Continuum. 264-269 (2002)
• [文献書誌] Y.Ohtsubo, K.Toyonaga: "Optimal policy for minimizing risk models in Markov decision processes"J. Math. Anal. Appl.. 271. 66-81 (2002)
• [文献書誌] Y.Ohtsubo: "Value iteration methods in risk minimizing stopping problem"J. Comput. and Appl. Math.. (to appear)(発表予定).
• [文献書誌] Y.Ohtsubo: "Minimizing risk models in stochastic shortest path problems"Math. Meth. of Operations Res.. 57・1(印刷中). (2003)
• [文献書誌] S.Shiraishi et al.: "On a maximization problem arising from a positive reciprocal matrix in AHP"Bull. Informatics and Cybernetics. 34・2(to appear)(発表予定).
• [文献書誌] T.Fujita: "On Policy Classes in Dynamic Programming Theory"Proceedings of 9th Bellman Continuum. 39-43 (2002)
• [文献書誌] S.Iwamoto, T.Fujita et al.: "Controlled Markov Chains with Utility Functions"in Markov Processes and Controlled Markov Chains. 135-148 (2002)