研究概要 |
(i)形状因子の空間の研究 2次元の可積分場の理論における局所場全体のなす空間について表現論的な研究を行った。 最も基本的なSU(2)不変Thirring模型(ITM)では局所場の空間の指標がレヴェル1のWZW理論の指標で与えられる(中屋敷厚)。一般に共形場理論の摂動で得られる可積分場の理論において、それぞれの局所場は共形場理論の極限と1対1に対応すると信じられており、この結果は、数勘定のレベルでこの期待を数学的に定式化したものである。 本年度の研究では、共形不変式理論におけるFeigin-Loktevのフュージョン積の手法を応用し、中屋敷の結果を別の方法で導出するとともに、制限サイン・ゴルドン模型の場合に拡張してVirasoro極小表現の指標を得た。また中屋敷の結果はchiral subspaceに関するものであるが、これを左右両方のchiralityがある場合に拡張した。 これらの計算はいずれも、局所場に対応する形状因子の積分表示に現われるある多項式列の空間Zの研究に帰着する。本年度の研究ではさらに、Zの表現論的な構造を明らかにした。すなわちZに量子群U_<√<-1>>(<sl>^^^∧_2)の作用を導入し、U_<√<-1>>(<sl>^^^∧_2)加群としてZがレヴェル1の可積分最高ウエイト加群とその双対とのテンソル積に同型であることを示した。 (ii)単項基底の構成 上述の指標の計算過程において、フェルミ型の公式が自然に現われる。Virasoro極小系列表現M(p,p')の1<p'/p<2の場合について、(2,1)プライマリー場のフーリエ成分を用いて、上記の公式に対応する単項基底を構成した。同様の結果は(<sl>^^^∧_2)の可積分最高ウエイト加群の場合にも得られる。これらについては論文を準備中である。
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