研究概要 |
L^2正則関数に関して、Bergman核と割算定理、および重みつきHardy空間における拡張定理に関して新たな進展があった.神本は有限型領域のBergman核に対し、ニュートン図形を用いた漸近解析の手法を適用することによって、G.Herbortが発見した注目すべき例(主要項が対数因子をふくむBergman核)を一般的な枠組みに収めることに成功した(プレプリント,2002/10/11).大沢はSkodaのL^2割算定理を特殊な場合に改良した結果を発表し(2002)、その後それを一般化した(2003,発表予定)。これはL^2割算定理をL^2拡張定理の系として導くというアイディアにもとずくものである。重みつきのL^2Hardy空間は、平地により不変式論的な観点からSobolev-Bergman核の枠組みで研究が進行中であるが、大沢はBeatronsが積分核の方法で得ていた拡張定理に着目し、L^2評価の方法を用いて新しい拡張定理を得た.これはBeatrousの結果のL^2正則関数に関する部分を含むもにである.(投稿中).さらに大沢はL^2正則関数の'正息域'である擬凸領域の研究を進め、Diederichとの共同研究で、多様体上の撚転領域の新たな一族を構成し(2002,Math. Ann.)、それらの領域上のBergman核の境界挙動を決定する作業に入りつつある.これらの成果は函数論サマーセミナーやICMサテライトシンポジウム(於韓国,慶州)、および多変数関数論葉山シンポジウムなどで公表された.また次代の育成のため、平地、高山、神本を組織委員として「多変数関数論の萌芽的研究」(京大数理研研究集会)を行った.(2002/11/18〜22)
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