研究概要 |
1.高階パンルヴェ方程式の構造論 パンルヴェ階層(P_J)(J=I,II-1,II-2)に属する各方程式に対し,その0-パラメタ解は第1種変わり点の近くに於いて古典的なI型パンルヴェ方程式の解に変換されることを示した。(河合-竹井:Proc.Japan Acad.,80A(2004)に速報発表)この結果により,高階パンルヴェ方程式の構造論を,完全WKB解析的手法を用いて展開することが可能になったと判断し,"Toulouse Project"として我々の今後の研究計画のスケッチを公表した。(数理解析研究所講究録1397(2004)) 2.仮想的変わり点とストークス曲線の分岐 同じ"高階パンルヴェ方程式"であっても野海-山田系は解析的には(P_J)とかなり扱いが異なる。(最終的には,すべて"局所的には同型"となると期待はしているが,現状ではこのように言わざるを得ない。)例えば,数理解析系院生佐々木俊介が,最も簡単な野海・山田系,即ち,IV型パンルヴェ方程式の対称形式,に対し,その背景にあるLax対のストークス図形に於いて見出した極めて興味深い事実"パラメタtがパンルヴェ方程式のストークス曲線上に在るにも拘らずLax対のストークス図形の退化が見られない"はその最も顕著な一例である。これに対するmost far-reachingな解釈は"仮想的変わり点と(通常の)変わり点がストークス曲線の分岐が起きた状態で入れ替わることによる"であることを明らかにし,さらに,野海・山田系の解のインスタントン展開の相函数の記述には,そのようにして通常の変わり点とは入れ替わった仮想的変わり点が関わることも証明した。(青木・河合・佐々木・首藤・竹井:J.Phys.Aに近刊予定。)
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