研究課題/領域番号 |
14340044
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野村 隆昭 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30135511)
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研究分担者 |
伊師 英之 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助手 (00326068)
菊地 克彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50283586)
梅田 亨 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00176728)
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キーワード | ジーゲル領域 / 等質錐 / 分裂可解リー群 / ポアッソン核 / ラプラシアン / ケーリー変換 / 有界等質領域 / 非可換調和解析 |
研究概要 |
本研究課題では、おもに等質シーゲル領域上の調和解析を、そこに単純推移的に作用する分裂可解リー群Gを通して研究した。特に、ポアッソン核の調和性と、ジーゲル領域の幾何学的な性質との関係を追究し、ジーゲル領域のシロフ境界の計量幾何学的な性質が、核の調和性に決定的な影響を及ぼしていることを解明した。すなわち、セゲー核に付随するCayley変換を考えると、Poisson核の調和性が、このCayley変換によるシロフ境界の像がある球面上にあることと同値であることを示した。さらにこのノルム等式の成立と領域の対称性が同値であることを示すことにより、ポアッソン核の調和性と領域の対称性が同値であることを示した。またジーゲル領域のケーラー計量を標準的な導入法で変化させても、ポアッソン核が調和になるのは、(領域が対称であることと同時に)その計量がBergman計量に限ることも証明した。この研究成果は、学術論文Geometric connection of the、Poisson kernel with a Cayley transform for homogeneous Siegel domainsとしてまとめ、J.Funct.Analに投稿し掲載が決まっている。上述のCayley変換や、以前に取り扱ったBergman核に付随するCayley変換、及び数年前にPenneyが導入した凸錐の特性函数に付随するCayley変換を一般化して、認容線型形式をパラメタとするCayley変換の族を考えて、これらのCayley変換の性質について詳しく調べた。その成果を学術論文としてまとめ、学術雑誌Diff. Geom. Appl.に投稿し受理されていて、近々掲載されることになっている。 研究分担者の伊師英之は、等質ジーゲル領域のシロフ境界上の調和解析を研究した。シロフ境界上の2乗可積分函数の空間に、Gは準正則表現で作用するが、その作用の分解に関する著しい結果を得ている。そしてPaley-Wiener型の定理や、古典的なコーシー・セゲー核の一般化を得ている。さらに分担者梅田亨は、Koszul complexを一般線型環g1(n)の普遍包絡環におけるロンスキ関係に応用し、不変微分作用素の代数的な性質にかんする結果を得た。
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