研究概要 |
本年度の研究においては,昨年度からの継続で,2003年に米国Rutgers大学のGindikin教授との研究討議を進める中で浮かび上がった,等質錐の線型同型群の複素化を用いての対称錐の特徴付けの問題を取り扱った.分担者伊師の2001年の研究成果である,等質錐の線型同型群に関する相対不変式の基本生成元の様相について詳しい研究を行った.本研究費補助金から旅費を支出して参加した,東京大学玉原国際セミナーハウスでのワークショップにおいて,分担者である伊師との研究討議により,非対称な開凸錐の系列で,それらに付随する基本相対不変式の次数が,1,2,・・・,r(rは開凸錐の階数)となっているものが見つかった.この内容については平成17年11月の表現論シンポジウムにおいて報告を行った.この系列上での非可換調和解析の展開は大変興味深いように思える.さらに伊師との共同の研究により,基本相対不変式達は,複素化されたクランの右乗法演算子の行列式の既約成分としてすべて現れることがわかった.これらの内容について,現在伊師と野村の学術論文として執筆中である. この基本相対不変式の研究にあたっては,平成17年6月,本研究費補助金から渡航費・滞在費を支出して参加したナンシー大学とストラスブール大学での研究集会(いずれもフランス)においてもGindikin教授と研究討議を行ったことが,成果をもたらした.さらに同年9月においては,ウィーンのシュレディンガー研究所でのワークショップに参加し,Marburg大学(ドイツ)のUpmeier教授とは本研究課題について様々な観点から討議を行った. 分担者伊師の一般のジーゲル領域の実現に関する著しい成果は,学術雑誌Differential Geom.Appl.から出版されることが決まっている.
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