研究分担者 |
佐藤 秀一 金沢大学, 教育学部, 助教授 (20162430)
小薗 英雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00195728)
勘甚 裕一 金沢大学, 工学部, 教授 (50091674)
薮田 公三 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30004435)
立澤 一哉 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80227090)
|
研究概要 |
Jacobi級数に対して前年度に示した移植定理を改良して,扱うJacobi多項式の指数とH^p空間の重みとに付いていた制限を大幅に緩和した.この改良において特徴的なことは,移植作用素を作用させる関数が或る次数までのcosの多項式と直交するという形のモーメント条件を仮定することにより移植定理の成立する指数と重みの範囲を広げられることである.この事実は重み付きのL^p空間においてはMuckenhoupt (1986)が示していたが,我々はそれを重み付きのH^p空間にまで拡張した.この移植定理は開区間という領域上のH^p空間における特異積分作用素の有界性を主張するものであるが,同様に領域上のH^p空間における特異積分作用素の有界性を示したChang, Krantz, Stein, Dafniによる結果(1993,1999)と次の点で異なる.すなわち,Changらの導入した領域上のH^p空間ではそれに属す関数は実質的にはモーメントの消えるアトムの和の形にアトム分解することができたが,我々の用いたH^p空間はChangらのものより本質的に広く,それに属す関数のアトム分解にはモーメント条件をみたさないアトムが現れる.しかし,作用素を作用させる関数自体がモーメント条件をみたしていれば,その関数をアトム分解したとき現れるアトムそれぞれはモーメント条件をみたさなくてもよいのである. 他に,waveletを応用したSchrodinger作用素の固有値の研究,Jacobi級数に関するHardy型不等式,Campanato空間におけるLittlewood-Paley関数とMarcinkiewicz関数の評価,特異積分作用素や擬微分作用素に対する重み付き評価,微分方程式に対するtangent cone algorithm, Besov空間やTriebel-Lizorkin空間におけるNavier-Stokes方程式の研究,など,多くの成果があった.
|