研究概要 |
本年度の2月に,UCLAへのIPAM(純粋および応用数学研究所)において,非線形シュレディンガー方程式に関する,応用と純粋数学の両方からの参加者を得てのワークショップが,本研究の分担者のひとりであるG.FibichとShi Jin, G.Papanicolaouが主催者となって開かれた.代表者である名和と分担者のSulemは招待講演者として招かれ,そこで今後の研究について意見をかわすことができた.また,他の講演者の発表も非常に刺激的なものであった. 全体的に本年度は,分担者のこれまでの研究方向が継続され,その情報交換が主だったものとなった.国内の非線形シュレディンガー方程式の研究者を集めての研究集会(Sulemを招聘していたのだが,直前になって彼女の都合で今年度の招聘は叶わなかった)を開催して,多くの議論を集中的に交わすことができた.これらの研究集会は本研究の今後の進展にとって大きな原動力となるだろう. Fibichと研究を進めている,減衰項付きの共型冪をもった非線形シュレディンガー方程式の爆発解の考察は現在進展中で,時間大域解の有界性を示した論文をもう少しで準備できる.また,Sulemとは,彼女が最近数値解析を手掛けている,ベクター型の非線形シュレディンガー方程式に対する,数学として厳密な爆発解の存在証明の可能性について論じはじめたところである.また,彼女とは優共型冪をもった非線形シュレディンガー方程式の爆発解の漸近挙動に関する論文を準備中である.石毛とは,半線形の放物型方程式の爆発解で証明できている事実を非線形シュレディンガー方程式でもと,議論を重ねてきたが,実際に現出する姿は似てはいるものの,背景にあるカラクリに共通点を見出せないでいる.今後のさらなる議論が必要である.
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