研究分担者 |
津田 一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10207384)
岡本 久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)
深谷 賢治 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30165261)
柳田 英二 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80174548)
辻井 正人 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20251598)
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研究概要 |
研究代表者の国府の今年度に得られた研究成果は以下の通りである:(1)カオス的挙動を示す常微分方程式の典型的な例として知られるLorenz方程式のある種の特異極限において,衡点からなる不変直線と,その中の2点を結ぶheteroclinic軌道からなる退化した特異heteroclinic cycleの存在を示し,またその特異サイクルの分岐において幾何的Lorenzアトラクタが発生することを証明した.現在,論文は投稿中である.(2)slow-fast systemと呼ばれる特異摂動的ベクトル場も,広い意味である種の特異構造からの分岐と考えられるが,そのような系における周期軌道やheteroclinic軌道の存在を,Conley指数理論と呼ばれる位相的な指数を用いて一般的に与える枠組みを与える理論をslow manifoldが高次元の場合に拡張した.目下,論文を準備中である.(3)Kuramoto-Sivashinsky方程式と呼ばれる非線型偏微分方程式の進行波解を与える常微分方程式におけるcocoon bifurcationと呼ばれる無限個のheteroclinic分岐を,時間座標の反転に関する対称性を持つreversibleな力学系における,ある種の周期軌道と平衡点を含む特異な不変集合からの分岐として数学的な説明を与えた.目下,論文を準備中である. 研究分担者の業績のうちの主なものは以下の通りである.津田は大自由度系において広くみられる特徴的な現象と考えられているカオス遍歴現象がMilnorアトラクタと呼ばれる弱い吸引集合を持つ系の結合においてもみられることを示し,カオス遍歴現象のメカニズムについて調べた.辻井は2次関数を元にした歪積型の2次元写像のLyapunov数に関するViana, Alvesらのこれまでの結果を拡張した.柳田は勾配系を拡張したskew gradient系と呼ばれる微分方程式系のあるクラスにおける解のEckhaus不安定性やzigzag不安定性のメカニズムを調べた.
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