研究分担者 |
穴倉 光広 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70192606)
浅岡 正幸 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10314832)
荒井 迅 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80362432)
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
辻井 正人 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20251598)
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研究概要 |
力学系の大域的構造とその分岐,特に力学系のカオスと呼ばれる複雑で予測困難な振る舞いや,偏微分方程式や結合系などの大自由度力学系に重点を置いて様々な観点から研究を行い,多くの成果が得られた.その主要な成果として,國府は(1)ベクトル場の特異不変集合からの分岐として,singularly degenerate heteroclinic cycleと呼ばれる構造がLorenz方程式やその類似に存在し,そこから幾何的Lorenz型のカオスアトラクタが分岐することを示した;(2)特異摂動的ベクトル場の構造をConley指数と呼ばれる力学系の位相的不変量を用いて記述する理論を発展させ,適当な条件の下で周期軌道やカオス的な軌道の存在を示す方法を見出し,いくつかの具体的な問題にそれを応用した.宍倉は複素解析的な力学系について研究し,特に放物型不動点に関する繰り込み理論を発展させ,力学系の構造や分岐に関する新しい強力な手法を開発した.浅岡は射影的Anosov構造と呼ばれるある種の双曲性を持つ力学系を研究し,3次元流の場合にその分類を完成させた.荒井は力学系の大域的構造や分岐をConley指数などの位相的手法と計算機による数学的に厳密な計算とを組み合わせて研究する方法を用いて,Henon写像の力学系の双曲性や大域的分岐についての興味深い結果を得た.辻井は力学系の構造をエルゴード理論の観点から研究し,2次元の部分双曲的力学系の良い不変測度の存在について一般的な結果を得た.西浦はある種の偏微分方程式によって与えられる無限次元力学系における,自己複製および自己崩壊パターンと呼ぶ過渡的ではあるが複雑で興味深い現象を力学系的観点から研究し,そのメカニズムを明らかにした.この他にも小室による大域結合系におけるカオス遍歴についての詳細な数学的解析などの成果が得られた.
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