研究分担者 |
松本 健吾 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助教授 (40241864)
内山 充 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60112273)
泉 正己 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80232362)
綿谷 安男 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (00175077)
山上 滋 茨城大学, 理学部, 教授 (90175654)
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研究概要 |
部分因子環論的手法による低次元Kac環(*-構造を持つHopf環)の研究は,従来から研究代表者と分担者泉により進められていたが,31次元以下のKac環の完全分類結果がAMSからMemoir(198頁)として出版された.この分類では,従来の手法以外に,有限群のdualのエルゴード的作用,Kac環のコホモロジー等の手法も有用であった.この手法の応用として,部分因子環に対する二次コホモロジー理論を構築した.R.Longoの意味での自然準同型(canonical endomorphism)が内部共役を除いて部分因子環を決定するかという問いは,分野の当初から専門家を悩ませていたが,我々のコホモロジー理論は,この問題に完全な解答を与えるものである.一般理論の構築以外にも,指数4以下の部分因子環を始めとする幾つかの典型的な部分因子環のクラスに対し,実際にコホモロジーを決定した. 群・部分群から決まる部分因子環は指数理論において最も典型的な研究対象の一つであるが,逆に部分因子環の情報から群・部分群の対が完全に復元できるかという問題は基本的である.泉はコホモロジー理論構築で使われた道具を更に深化させ,この問いに対する完全な解答を与えた.復元可能性に対する障害が明らかなり,復元不可能性を示す部分因子環の実例の族も大量に構成され,この話題に関する最終結果と見なされている.それ以外にも,泉はC^*環の自己同型に対するRohlin性質の研究を行い,ある種のC^*環の有限群作用に関する目覚しい分類結果を得た. 分担者綿谷はもう一人の分担者梶原との,複素力学系から自然に生じるC^*環に関する,共同研究を実施し,C^*環の単純性,分岐がある場合の取り扱い等の基本事項を整備し,更なる研究の深化を目指している。また,その他にも,研究協力者榎本氏(甲子園大)と共に、4つの部分空間の配置に関するGelfand-Ponomarev理論の無限次元への拡張を目指しており,無限次元ヒルベルト空間を扱う事により始めて登場する新たな現象を解明しつつある. 分担者松本はC^*環論的手法を位相力学系の研究に応用し新たな知見を得ており,一方分担者内山は彼自身の作用素単調関数に関する結果に基づく古田型作用素不等式の一般化に成功した.
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