研究課題/領域番号 |
14340060
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒河 宏企 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80135508)
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研究分担者 |
柴田 一成 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70144178)
北井 礼三郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40169850)
上野 悟 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70303807)
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キーワード | 太陽磁場測定 / 高分解Hα太陽全面像 / 太陽Hαサージ / 浮上磁場領域 / 太陽望遠鏡 / 太陽プラズマ噴出 |
研究概要 |
太陽プラズマ噴出現象の発生メカニズムを調べるための新しい太陽磁場活動望遠鏡(SMART)を、本研究の初年度と次年度において建設したが、16年度においては、この望遠鏡を用いたテスト観測を行うと共に、その性能を最適化するための種々の調整作業を継続して行った。その結果、SMART望遠鏡が当初から目指していた次のような新しい諸性能を実現することができた。 (1)Hα太陽全面像を撮影するものとしては世界最高の空間分解が実現していることを観測によって確認した。 (2)太陽全面のベクトル磁場の取得に成功した。 (3)望遠鏡内部に設置されている各種精密光学部品の性能の安定化を実現するために、望遠鏡筒内自動温度制御により、望遠鏡内温度を年間を通じて常に摂氏25度プラスマイナス5度の範囲に保つことに成功した。 これまでに得られたHαサージの観測データの解析を行って、次のような新しい結果を見出した。 (1)ドームレス太陽望遠鏡で観測されたHαサージ14例について、中国のHuairou太陽観測所で撮影された磁場データを用いて、サージの根元の孤立磁場の時間変化を調べた。14例中12例において、サージ発生中或いはその後に磁場強度が増加していることが発見された。これによって、新しい浮上磁場がサージ発生にとって重要な役割をしていることを初めて定量的に示すことが出来た。 (2)La Palma天文台で撮影されたHαサージとTRACE望遠鏡で撮影されたFeIX171コロナ輝線像の比較解析から、サージの根元にコンパクトな100万度プラズマループが形成されていることを見いだした。 これらの結果は、Hαサージが新しい浮上磁場領域と周囲の既存の磁場との磁気リコネクションによって放出されるというモデルを強く支持するものである。
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