研究課題/領域番号 |
14340064
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
安藤 裕康 国立天文台, 光学赤外線天文学・観測システム研究系, 教授 (90111559)
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研究分担者 |
野口 邦男 国立天文台, 光学赤外線天文学・観測システム研究系, 教授 (10111824)
田村 元秀 国立天文台, 光学赤外線天文学・観測システム研究系, 助教授 (00260018)
林 正彦 国立天文台, ハワイ観測所, 教授 (10183914)
林 左絵子 国立天文台, ハワイ観測所, 助教授 (90183912)
周藤 浩士 国立天文台, ハワイ観測所, 助手 (50300710)
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キーワード | 太陽系外惑星の直接検出 / 原始惑星系円盤 / 星・惑星系形成 |
研究概要 |
平成15年度は、平成14年度に引き続いて、若い星周囲の原始惑星系円盤の構造の解明や、惑星候補天体の検出をめざした観測を行った。その結果、昨年度の31個に加えて、さらに30個以上の天体の観測を進めることができた。コロナグラフ撮像装置を波面補償光学装置と併用し、すべての天体についてHバンド(波長1.6μm)で解像度0.1秒角の画像を得た。観測した天体は、おうし座分子雲に付随する年齢が10万年から1000万年の若い星で、太陽質量の半分から2倍程度の質量を持つ若い星である。 一方、昨年度観測した天体の追観測と詳細な解析が終了し、以下のような主たる成果が得られた。 (1)おうし座AB星周囲の原始惑星系円盤に顕著な渦巻き構造を検出した。これまでは、ハッブル宇宙望遠鏡による可視光の観測で、おうし座AB星と他の1天体の周囲に渦巻き状の構造があることが知られていたが、これが原始惑星系円盤に付随した構造かどうかは明確ではなかった。私たちの観測では、近赤外線を用いることで原始惑星系円盤のみに付随する構造を選択的に検出し、またコロナグラフと波面補償光学装置を用いることでハッブル望遠鏡の画像よりも鮮明に、原始惑星系円盤に付随する渦巻き構造を描き出した。この渦巻き構造は、円盤中に惑星が存在するために形成されたものではなく、円盤が重いために重力不安定性によって生じたものと考えられる。 (2)おうし座DH星に付随した極めて低質量の天体を発見した。この天体の分光観測を行った結果、表面温度は約2900度以下と低く、明らかに褐色矮星かまたはそれ以下の質量を持つ天体であることが判明した。おうし座DH星のような若い天体の周囲に、褐色矮星かまたはそれ以下の質量を持つ天体が発見されたのは初めてのことであり、惑星系形成を研究する上で重要な発見である。
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