研究課題/領域番号 |
14340068
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森 俊則 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (90220011)
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研究分担者 |
寺沢 和洋 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助手 (10329138)
大谷 航 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (30311335)
春山 富義 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (90181031)
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キーワード | 液体キセノン / ガンマ線検出器 / シンチレーション光 / 低音用光電子増倍管 / 循環式液体キセノン純化装置 |
研究概要 |
液体キセノン中で動作する光電子増倍管は、低温下でも光電面の面抵抗の変化を最小限に押さえる必要がある。このため現在までの光電子増倍管では、光電面と入射窓との間に金属薄膜が使用されていた。本年度の研究により、この薄膜がシンチレーション光を吸収するため量子効率がかえって低下するという問題点が明らかになり、この金属薄膜を300ミクロン幅のアルミ製の帯で置き換え、抵抗率の変化は最小限に押さえながら光の透過率を向上させ、量子効率を約3倍向上させることに成功した。また、光電子増倍管の隙間にキセノンが侵入するのを防ぐ充填材として利用するために、光電子増倍管のガラス材と真空低温用エポキシ樹脂との混合材料を開発した。この混合比を最適化することにより、問題となっていた光電子増倍管の液体キセノン中での長期安定運転を可能にした。ガンマ線が検出器に入射する側のウィンドウの開発においては、金属ハニカム材の詳細なモデリングを取り入れたシミュレーションを遂行しハニカムコアが測定器性能に及ぼす影響の詳細なチェックを行った。 高性能測定器の建設に必要となるこのような基礎的な開発を進めるとともに、大型検出器の設計、キセノン液化システムの設計を進めてきた。特に今年度の研究を進める中で、キセノン中の残留水分の除去が重要であることが明らかになってきたため、液化システムの一部として組み込まれる予定の循環式液体キセノン純化装置の検討、設計を行った。この装置は液体キセノンの循環に低温用液体ポンプを使用し、フィルターを介することにより液体キセノン中の水分を迅速に除去するためのものである。従来まで行われてきた気相での純化に比べて、純化速度の大幅な増大、到達純度の向上、詳細な熱設計による必要冷凍能力の低減が可能との算出結果が得られており、平成15年度の実証試験にむけた準備が整えられている。
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