研究課題/領域番号 |
14340073
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下田 正 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70135656)
|
研究分担者 |
畠山 温 東京大学総合文化研究科, 助手 (70345073)
宮武 宇也 高エネルギー加速器研究機構, 助教授 (50190799)
出水 秀明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50294153)
|
キーワード | 不安定核 / スピン偏極 / β遅発中性子崩壊 / 励起準位 / 傾斜薄膜法 / 偏極電子移行反応 / レーザー光ポンピング / 11Be |
研究概要 |
私たちは、スピン偏極を利用して不安定核の核構造を明らかにするという新しいアイデアに基づいた実験に成功した。すなわち、カナダ国立素粒子原子核研究所TRIIUMFの不安定核ビーム施設ISACにおいて、50%にも偏極した中性子過剰核11Liビームを生成することに成功し、そのベータ遅発中性子崩壊をベータ線の非対称度とともに測定し、娘核11Beの励起状態の励起エネルギーとともに、スピン・パリティを決定することが出来た。さらに、中性子崩壊の反跳を受けた10Be核のガンマ線のドップラー効果によるガンマ線幅の広がりから、中性子崩壊経路を突き止めるという新しい実験手法を確立することが出来た。また、ベータ線の非対称度は、崩壊経路の詳細な解明にも極めて有効であることがわかつた。中性子スペクトルの詳細な解析から、11Beにおける未知の準位の存在を突き止めることが出来た。 11Beの励起準位の位置、スピン・パリティ、その準位への11Liのベータ崩壊の強度は、第一原理に基づく理論計算(反対称化分子動力学理論)と良い一致を示した。このことから、11Beではアルファクラスター2つが良く発達した回転帯構造とアルファクラスターが崩れた構造が出現していることが明らかとなった。この実験では、軽い中性子過剰核においては、クラスター構造が出現しているのではないかというこれまでの予測に、直接的な証拠を提示した画期的なものであると言える。
|