研究課題/領域番号 |
14340074
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畑中 吉治 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (50144530)
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研究分担者 |
若狭 智嗣 九州大学, 大学院・理学研究院物理学部門, 助教授 (10311771)
二宮 史郎 大阪大学, 核物理研究センター, 助手 (80304062)
酒見 泰寛 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (90251602)
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キーワード | 三体力 / 偏極ヘリウム3 / スピン交換型偏極標的 / 半導体レーザー / 光ポンピング / 核子のクォーク構造 |
研究概要 |
ヘリウム3原子核は多体効果の現れる最小の安定な原子核であり、核力および核構造の面から実験・理論的にも早くから研究されて来た。特に、核子間力の斥力芯領域が重要となる中心部分では核子のクォーク構造研究との関連からあらためて関心が持たれている。ヘリウム3の結合エネルギーは、近代的な核子間二体相互作用を採り入れた三体Faddeev計算でも約0.5MeV不足しており、核子間に2つのパイ中間子が交換される過程に起因する三体力を導入することで初めて実験値が説明される。最近の核子・重陽子散乱の研究から三体力のスピン依存部分にはまだ大きな不確定性が残っていることが分りつつある。 今年度は主に以下の4点にわたる研究を行った。 1.^<12>C、^<58>Ni、^<90>Zrからの弾性散乱の微分断面積および偏極を測定しヘリウム3-原子核間のスピン依存相互作用を解明した。これは中間エネルギー領域でのヘリウム3偏極量の世界初の測定である。ヘリウム3偏極度計開発及び物理の結果を学術雑誌に投稿した。 2.偏極重陽子・陽子弾性散乱の微分断面積及び偏極分解能の測定を開始し、一部データを取得した。三体理論計算と比較し、修士論文にまとめた。陽子と中性子が終状態相互作用領域にある、重陽子分解反応の研究を開始した。 3.昨年度製作したスピン交換型偏極ヘリウム3標的の偏極度測定、偏極度緩和時間測定、偏極度向上のための開発を行なった。結果の一部は、日本物理学会で口頭発表した。 4.本研究で計画している陽子-ヘリウム3後方弾性散乱の理論的検討を進めるとともに、測定検出器の検討を進めた。理論では二核子交換過程に重陽子以外に一重状態の成分を考慮するとともに、非核子自由度であるパイ中間子交換が重要であることを示した。
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