研究分担者 |
久保木 一浩 神戸大学, 理学部, 助教授 (50231296)
林 青司 神戸大学, 理学部, 教授 (80201870)
斯波 弘行 神戸大学, 理学部, 教授 (30028196)
坂本 眞人 神戸大学, 理学部, 助手 (30183817)
西野 友年 神戸大学, 理学部, 助教授 (00241563)
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研究概要 |
初年度にあたる今年は,まず予定どおり,繰り込み群研究の現状を把握するために,数回のセミナーを開くことから始めた.園田がWilsonによる厳密繰り込み群(特にそのPolchinskiによる摂動論的扱い)の解説に当り,また西野がWhiteの密度行列繰り込み群の方法を解説した.前者は素粒子理論,後者は物性理論の色彩が強いが,両分野の研究者にとってわかりやすい解説が行われた. 園田の"Bootstrapping..."の論文にある研究は,上記の担当がきっかけで,Polchinskiの定式化をよりわかりやすいものにすることを動機として始められた.通常,繰り込み群方程式は,微分方程式として表されるが,それを積分方程式に書き直すことによって,連続極限が極限操作をとらずに直接得られることが示された.この方法をたとえば電子系の低エネルギーの普遍的な物理のように,物性論で興味のある系に応用することは,今後の課題である. 密度行列繰り込み群は(DMRG)は,西野によって数値的研究が行われ,彼自身が提唱したテンソル積の方法によって,Pottsモデルなどより広い範囲のモデルに応用することに成功した.素粒子の研究者にも役立つような定式化は,来年度に期待される. 研究支援者として,兼下英司(かねしたえいじ)と関穣慶(せきしげのり)の2名を雇用した.兼下は平均場近似を使って,ストライプ秩序のある銅酸化物高温超伝導体の電子状態の解析を行っていて,平均場近似の正当化のために繰り込み群の方法を使うことに興味を持っている.また関の研究対象は弦理論で,最近はDijkgraafとVafaの予想にもとづいて,弦理論や行列模型を用いて,N=1ゲージ理論を理解しようとしている.いままでよく調べられてきたN=2ゲージ理論に比べて,繰り込み群から得られる情報が豊富であると予想される. 6人の研究者間の交流は来年度以降いっそう盛んになると期待される.
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