研究課題/領域番号 |
14340078
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡本 宏己 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (40211809)
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研究分担者 |
野田 章 京都大学, 化学研究所, 教授 (20114605)
伊藤 清一 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (70335719)
小方 厚 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (60023727)
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キーワード | クリスタルビーム / 線形ポールトラップ / 非中性プラズマ / 空間電荷効果 / レーザー冷却 |
研究概要 |
新たに開発した分子動力学コードを用いて、三次元レーザー冷却法およびビーム結晶化に関する系統的なシミュレーション研究を行った。具体的なラティス構造として、主にクーラーリング"TARNII"と京都大学で現在建設中のイオン蓄積リング"LSR"を仮定した。1MeV程度の運動エネルギーをもつ^<24>Mg^+ビームを波長およそ280nmのレーザー2本を使って冷却するという状況設定の下でシミュレーションを行い、"共鳴結合法"の導入により、すべての自由度の高速冷却が可能であることを確認した。到達可能な平衡温度は三自由度すべてで1Kのオーダーかそれ以下であり、これまで実現されたいかなるビームよりもはるかに低い。ビームの線密度が十分小さい場合には、イオン配列の一次元的な秩序化が期待できることも示された。 また、高周波四重極イオントラップ(リニアポールトラップ)を製作し、イオンの捕獲実験を開始した。イオン種としては当初の予定通りレーザー冷却可能な^<40>Ca^+を考えているが、現時点では、残留ガスをイオン化して予備的測定を行っている。システム特性を評価するための一連の予備実験が完了した後、原子オーブンを作動させ、純粋な^<40>Ca^+プラズマを使った実験に移行する予定である。尚、初期のデザインでは高周波電圧振幅として最大600Vを印可することになっていたが、実際の実験データを検討した上で、バックグラウンドを軽減するためやや低めの電圧を用いることになった。それに対応して、直径11.5mmの電極ロッドを新たに製作・設置した。高周波の周波数は750kHz前後に合わせて、現在実験を続けている。光学系の整備も進んでいるが、現有システムの制約から、レーザーによる誘起蛍光を観測するには至っていない。冷却実験は、来年度の後半以降になるものと思われる。
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