研究課題/領域番号 |
14340083
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
住吉 孝行 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (30154628)
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研究分担者 |
汲田 哲郎 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30271159)
松本 崇博 東京都立大学, 理学研究科, 日本学術振興会特別研究員
足立 一郎 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (00249898)
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キーワード | キャピラリープレート / 光検出 / ガス増幅 |
研究概要 |
これまでの研究から、キャピラリープレートに使用している鉛ガラスの還元の度合いやキャピラリーの直径や厚さを変えることで、抵抗値が可変であることが判明した。これらのパラメーターを調整し、大きなゲインの得られるキャピラリープレートを製作した。また、実際のMWPCで使用されるアルゴン+メタンガス中で、K-Csバイアルカリ光電面の量子効率の経時変化を測定したところ数日間に亙って量子効率の変化はあまり見られないことが判った(約15%)。アルゴン+CF4ガス中でも同様に、高い量子効率が得られることが判った。 一方、実際に光電子をガス増幅で増幅させた場合、イオン・フィードバックにより光電面の劣化が起きる可能性がある。それを防ぐためにバイアス角の付いたキャピラリープレートを製作した。電場と磁場がお互いに垂直にかけられた空間では、電子とイオンでローレンツ角が異なることからバイアス角を選べば、電子のみキャピラリーを通過し、イオンは通過できないようにすることが出来る。その効果を実際に試験したところ、見事にイオン・フィードバックが抑制されることがわかった。この成果をウィーンでの国際会議で報告した。 昨年の成果からキャピラリープレートとマイクロメガス検出器を組み合わせたガスチェンバーで高いゲインの安定した動作が得られることが判っていた。実際にこの方式のガスチェンバーを製作し、透過型K-Csバイアルカリ光電面を組み合わせて、世界ではじめて可視光をガスチェンバーで捉えることを試みた。ところが、キャピラリーに使用している鉛ガラスと光電面に使用しているアルカリ金属が反応してキャピラリーの抵抗値を大きく変化させ、期待したゲインが得られず信号は観測できなかった。そこでキャピラリーを除いて、マイクロメガスのみで観測したところ、見事にNa Iシンチレーターによる^<137>Csのγ線の信号を捕らえることに成功した。この成果も国際会議で報告した。現在キャピラリーの材質を鉛ガラスからソーダグラスに変えて試験を行う予定で、その準備中を進めている。
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