研究課題
EUSO望遠鏡では直径2.5mの両面フレネルレンズ2枚を用いた光学系で、その焦点面は曲面で視野角60°の領域で0.1°の角度分解能が得られる。0.1°に対応する焦点面上の距離はおよそ4mmでこれをマルチアノード光電子増倍管で覆う。本研究においてはマクロセルと呼んでいる光電子増倍管36本からなる焦点面検出器モジュールを開発と評価を行う。市販されている8×8ピクセルのマルチアノード光電子増倍管が候補にあげられていたが、その有感領域は中心部に集まっており、EUSOの焦点面検出器のように並べて面を構成する際には約45%という有感領域率の低く、この大きな不感領域のために、一様な有感領域が作れないことや、空気シャワーイメージが連続した像にならないことが問題であった。これらの問題を解決するためにマルチアノード光電子増倍管の光電面と初段ダイノードの間に電子収束機能を採用した弱電子収束型マルチアノード光電子増倍管の開発を行った。まず4×4チャンネルのものを試作し、その性能を評価したところ、期待通り有感領域率が約85%であることが確認できた。光電子収束時の位置情報のずれもそれほど大きくなく、十分実用に耐えることが確認できた。この4×4チャンネルの光電子増倍管の場合、1ピクセルは約6mm角で、EUSO望遠鏡に必要とされる角度分解能に到達できない。そこで、アノード分割数を増やしたタイプ(5×5、6×6)の試作も行った。これらも期待通りの基本性能を示した。この結果、6×6分割のものをEUSO焦点面検出器の基礎設計に採用された。また、約15%の不感領域を無くすために、紫外透過フィルターを用いたライトガイドの検討をおこなった。表面反射防止処理を施したテーパー型の紫外透過フィルターを光電子増倍管の前面に取り付けることで、EUSO光学系において、95%以上の有効感度領域率を達成できることが判った。
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