研究課題/領域番号 |
14340088
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
沢田 安樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90115577)
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研究分担者 |
鈴木 勝彦 宮城工業高等専門学校, 総合科学系数理科, 教授 (80187715)
中島 龍也 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70281962)
江澤 潤一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133925)
平山 祥郎 NTT物性科学基礎研究所, 量子物性研究部, 部長
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キーワード | 量子ホール効果 / 複合ボソン / 複合フェルミオン / 層間コヒーレンス / 活性化エネルギー / ガリウム砒素 / 擬スピン / スピン |
研究概要 |
2層系ν=1量子ホール状態において、1層化状態ではスピンの集団反転であるスカーミオン励起、2層に均等に電子が分布したバランス状態では擬スピンの集団反転励起が観測されている。そこで、それらの中間の電子密度差において励起の横磁場依存性を測定し、これら対照的な振る舞いを示す励起がどの様な経過を経て変貌していくかをトンネルギャップの大きい試料で調べた。その結果、トンネルギャップの小さい試料と同様にスピンと擬スピンの混じった励起が実現していることが明らかになった。しかし、擬スピン反転のエネルギーの大きな試料での振る舞いを説明することは難しい。このことは、トンネルギャップの大きい試料でも励起がスピンと擬スピンを含んだ一体の励起であることを意味する。従ってトンネルギャップの大きい試料でも一層化状態で見られるスカーミオン励起とバランス状態で見られる擬スピン集団励起は、本来異なるもめではなく、構成要素がスピンから擬スピンに変わっただけの、本質的に同じ励起であることを意味する。 さらに2層系ν=1量子ホール状態の面内磁場と電流の相関を調べた。面内磁場によるアハラノフ・ボーム効果によって擬スピンは磁場変調をうける。その結果、電子密度の濃淡が生じ、抵抗を生じる。その結果、面内磁場と電流の方向による異方性が生じる可能性がある。試料の2軸回転装置を製作して実験を行った結果、初めて電流と磁場方向による異方性を発見した。異方性は磁気抵抗の大きなバランス状態のν=1状態の周辺で顕著であった。また分数領域や整数の高いランダウ準位の領域にも異方性が見られた。今後さらに温度、電子密度、電子密度差、面内磁場、ランダウ準位を変えた実験を行ってこの新しい現象の全貌を明らかにする必要がある。またこの異方性を説明する理論を構築する必要がある
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