研究課題/領域番号 |
14340097
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小池 洋二 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134038)
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研究分担者 |
足立 匡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40333843)
野地 尚 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50180740)
加藤 雅恒 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50211850)
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キーワード | 量子スピン系 / 低次元系 / 熱伝導 / マグノン / 反強磁性 / 強磁性 / スピンギャップ / 銅酸化物 |
研究概要 |
低次元量子スピン系と思われる種々の銅酸化物の熱伝導を測定した。 1.2次元反強磁性系であるCu_3B_2O_6のネール温度(10K)以下の低温における熱伝導度の増大は、磁場の印加や少糧のZn置換によって大きく抑制されることから、主にマグノンによる熱伝導の増大によるものであることが分かった。また、反強磁性秩序状態における熱伝導度が、スピンフロップに伴って減少し、新たなスピン配列の安定とともに再び増加することから、熱伝導がスピン状態と密接な関連を持つことが分かった。 2.2次元スピンギャッフ係であるSrCu_2(BO_3)_2の10K以下のスピンギャップ状態における熱伝導度の増大は、少量のZn置換によってほとんど変化しないことから、フォノンによる熱伝導の寄与であることが分かった。 3.4本足梯子格子系La_2Cu_2O_5の大型単結晶の育成に世界で初めて成功した。熱伝導度は非常に異方的で、梯子の足方向で極めて大きくなることが分かった。それは、スピン間の交換相互作用Jの異方性で理解でき、Jの大きい梯子の足方向ではマグノンによる熱伝導の寄与が極めて大きいと結論された。この梯子の足方向でマグノンの寄与が大きいのは、スピン相関が反強磁性的であり、かつ、Jが約1000Kと大きいことから、マグノンの速度が音速以上に大きくなっているためと推測された。 4.1次元スピン鎖系Ca_2Y_2Cu_5O_<10>の熱伝導を測定した結果、ネール温度(30K)以下で僅かに上昇し、低温で磁場を印加すると、スピンフロップ磁場で急激に変化することが分かった。これは、熱伝導がスピン状態の変化のよいプローブであることを示している。また、熱伝導度の値が小さいことから、この系ではマグノンの寄与は小さいと言えるがそれは、鎖内のスピン相関が強磁性的であり、マグノンの速度が遅いためと推測された。
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