研究課題
基盤研究(B)
高温超伝導体の超伝導状態の理解には、高品質の単結晶における実験結果が必要不可欠である。しかしながら、現実には、完全にピン止め効果を排除することは不可能である。そこで、できる限り理想的な状況を作るため、表面バリヤ効果を排除することが不可欠である。このような実験はこれまで行われることはなかった。高温超伝導体の最も大きな特徴である強い2次元的な超伝導状態は磁場中での超伝導状態に大きな影響を与える。2次元異方性が最も強いBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>系ではその効果が極めて顕著で、磁束状態の相図がもはや従来の金属系の磁束相図とは全く異なった様相を呈する。さらに、磁場が2次元面に平行であるとき、ジョセフソン磁束を形成し、温度、磁場などの関数として様々な相が発現すると考えられている。磁場が少し傾くと、交叉磁束状態が発現し、パンケーキ磁束のピン止め効果が加わり、現象はさらに複雑になっていく。本研究では、表面効果を排除する方法として電気抵抗測定にはコルビノ法を、交流磁気応答の測定には微小コイル磁気透磁率法を使った。その結果、パンケーキ磁束状態から交叉磁束状態、ジョセフソン磁束状態まで、固体状態から液体状態に渡る全角度領域でBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>系の磁束状態の相図を解明することができた。その中で特徴的なことは、1.ジョセフソン磁束状態には磁場の強さによって2相が存在し、その間は2次の相転移の可能性が強いこと2.交叉磁束状態にピーク効果が見られること3.磁束液体状態に2相存在し、ピン止め効果により誘起される相転移と考えられること4.高磁場のジョセフソン液体領域でのダイナミックスがパンケーキ液体状態と全く異なること等である。このように、本研究によってジョセフソン磁束状態の相図に関する新しい知見が得られ、高温超伝導体の磁束状態の理解に大きく貢献した。
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