研究概要 |
本研究の代表者が姫路工業大学理学部より千葉大学理学部に異動したため新研究室の建設と重なり研究が遅れたが、高圧NMR測定の感度を向上させる努力を行い、現在ピストン・シリンダー中で常圧と同程度の測定感度が得られるようになっている。千葉大学に設置された^3He-^4He希釈冷凍機をNMR測定用に改造中し、極低温高圧下でのNMR測定を平成15年度中に計画している。現在極低温領域での測定結果は得られてないが、URu_2Si_2,CeCoIn_5等の化合物において,高圧下で以下の成果を得ている。 1)URu_2Si_2 申請時には比較的低圧8kbarまでの^<29>Si-NMR測定されていたが、圧力範囲を18kbarまでに拡張するのに成功した。その結果、中性子線回折の結果見いだされた磁化の不連続な変化はNMRでは確認されない。また、15kbar以下の圧力では未知の非磁性秩序相と反強磁性相の混じった状態であるが、15kbar以上では均一な反強磁性相が実現している事も示した。 2)CeCoIn_5 この系は量子臨界点に位置する超伝導体と考えられているが、圧力をかけて系の変化を調べた。圧力の増加に従って、反強磁性スピンの揺らぎを抑えられる。核スピン格子緩和率1/T_1の温度変化は、20kbarの圧力下低温でフェルミ液体状態が発生している事を示している。この時、超伝導エネルギーギャップの大きさは超伝導転移温度に比例している。
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