研究概要 |
ピストンシリンダーセル、^3He冷凍機、^3He-^4He希釈冷凍機を用いた低温高圧技術を進歩させ、URu_2Si_2,CeTIn_5(T=Co,Rh,Ir)系の磁性と超伝導についてNMR法を用いた研究をおこない以下の結論を得た。 URu_2Si_2においてマクロ量の測定において得られている、微小な(0.03μ_B程度の)磁気モーメントの起源を探るため、^<29>SiNMRスペクトルの圧力変化を測定した。その結果、この系は秩序変数が未知の秩序相と、0.3μB程度の大きさの磁気モーメントを持つ反強磁性相から成り立っており、両者はほとんど縮退しており、相に明確な分離が存在する事が明らかとなった。加圧に伴い反強磁性相の体積が急激に増加し、1.5GPa以上の圧力で均一な反強磁性相のみ存在する。この結果から、常圧での微小な磁気モーメントの起源が見かけ上の結果である事が明らかとなった。 CeTIn_5(T=Co,Rh,Ir)において以下の結果を得た。CeRhIn_5において、常圧における反強磁性状態から、3GPaまでの加圧により反強磁性状態が消失し、低温で系が非磁性超伝導状態になっている事を^<115>InNQRスペクトル、核スピン格子緩和時間T_1の測定により明らかにした。ただし、3GPaの圧力下でも、反強磁性揺らぎは存在している。 CeCoIn_5は常圧では系が量子臨界点近傍に存在し、3GPaの加圧下ではフェルミ液体状態にある事をT_1の温度変化は示しており。同様にT_1から求めた超伝導エネルギーギャップの大きさの圧力変化は、超伝導転移温度の変化に比例しており、反強磁性的な効果で超伝導が抑制されていない事を示している。この点、エネルギーギャップが大きく変化するCeRhIn_5の反強磁性近傍の振る舞いとは異なる。
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