研究課題
分光器検出基部の多重化を進めた。各部の動作確認をし、遮蔽体の設計を行った。PrOs_4Sb_<12>の超伝導相に隣接して反強四極子秩序が存在し、Γ_1一重項基底状態をとることを明らかにした。磁場中の結晶場準位の分裂もこのレベルスキームを指示する結果を得た。結晶場準位と結合した重い電子によると思われる準弾性散乱を観察し、これらのゆらぎが超伝導転移温度以下で大きく変化することを発見した。5f電子遍歴反強磁性体U115及びNp115の研究を行った。中性子散乱実験の結果、U115系の磁気構造が、軌道の自由度の影響を強く受けていることを示唆する結果を得た。軌道磁気モーメントの大きな寄与が、5f電子の遍歴性の増加とともに減少することが明らかになった。Np系の磁気構造を決定し、遷移金属が115系の電子状態に重要な役割を持つことを明らかにした。重い電子系超伝導体CePt_3Siは0.17μ_Bという非常に小さい、しかし静的で、かつ長距離の反強磁性秩序が超伝導と共存している初めてのCe系重い電子系超伝導体であることを発見した。実験的に期待されているp波超伝導は、この物質の結晶構造が反転中心を持たないため不利であるが、反転対称性の存在する底面でCeの磁気モーメントの強磁性結合が実現し、そこでp波超伝導が実現している可能性を示唆した。さらに、明瞭な結晶場励起を観察することに成功し、Ceの4f電子が局在的性格が強い、重い電子系超伝導体としては珍しい物質であることを明らかにした。この物質の基底状態は、立方晶のΓ_8四重項状態がSi元素による弱い正方対称場ポテンシャルによって、わずか1meV分裂している事を発見した。この準四重項基底状態の分裂は、重い電子を形成する近藤温度と同等のエネルギースケールで、しかも、磁性と四極子(軌道)の両方の自由度を持つことを明らかにした。
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