研究概要 |
N行N列のランダム行列Xの特性多項式の比の平均値をGUE、GOE, GSEと呼ばれるXが複素エルミート、実対称、四元数対称行列で確率分布がガウシアンの場合にそれぞれ求める方法を新たに超対称群を使って開発した。この方法は外場がランダム行列Xに結合している場合には必要となるもので新しいユニバサリティを議論する上でも重要な方法となっている。Nが大きい時にはランダム行列Xの特性多項式の積および比の平均値から成る相関関数にユニバサリティな振る舞いが見られる。これらのユニバサリティな結果を導出するために、HarishChandra-Itzykson-Zuberと呼ばれるユニタリ群の積分公式を直交群およびシンプレチック群の場合に拡張する必要があり、本研究でより一般的に群パラメータを変えた場合の漸近展開の公式を導出した。またGOEとGSEとの間には双対性があり、ランダム行列Xの特性多項式の比の平均値を求める際、この双対性が重要な役割をする事を見出し、新しい相関関数を導出した。これらの結果は量子ドットのエネルギー準位やエネルギー相関に応用されるものである。またこれらの研究はリーマン面の交差数や位相的な普遍量とも関係しているので、弦理論との関係を考慮にいれて、普遍的な性質の元となる理論的構造を調べる研究を行った。また、HarishChandra-Itzykson-Zuber積分はCalgero-Moserハミルトニアンと関係しているので、その多体問題としての側面も研究した。
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