研究課題/領域番号 |
14340116
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
河本 敏郎 神戸大学, 理学部, 助教授 (70192573)
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研究分担者 |
福田 行男 神戸大学, 理学部, 教授 (40025482)
國友 正和 神戸大学, 理学部, 教授 (40031348)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 確立共鳴 / ストカスティック共鳴 / 光双安定性 |
研究概要 |
本研究では、ノイズ誘起秩序現象の典型例であるStochastic Resonance(確率共鳴)現象に着目し、レーザー光と非線形光学結晶で構成した光双安定系を用いてStochastic Resonanceの本質の実験的解明を試みた。 1.レーザー光と非線形光学結晶を利用したハイブリッド型光双安定系を製作し、雑音入力型Stochastic Resonanceの実験を行った。正弦波入力に対して、信号対雑音比(SN比)の雑音振幅依存性、雑音相関時間依存性等について調べた結果、雑音相関時間が短いほどS/N比のピーク値が大きくて共鳴の幅が狭く、ピークを与えるノイズ強度が小さいことがわかった。 2.ランダムな2進のビット列データ入力に対するStochastic Resonanceの実験とシミュレーションを行った結果、双安定系を通過させることによって情報伝達の利得が得られること、また、共鳴や情報の利得はノイズ相関時間が信号のクロック周期より短いときに顕著であることがわかった。 3.ポテンシャル障壁の高さを変動させる新しいタイプのポテンシャル揺動型Stochastic Resonanceの実験を行った。入力信号に正弦波、揺動信号に雑音を用いて実験を行った。雑音入力型とは異なり、揺動雑音の帯域が比較的小さな場合でも共鳴曲線が得られた。揺動雑音の帯域が大きいほど顕著に出力SN比が大きくなるが、光双安定系の出力SN比が最大となる揺動雑音振幅の値は、雑音入力型の場合と比べて変化が小さいことがわかった。 4.Stochastic Resonanceの光信号処理への応用を視野に入れた純光学的光双安定系を製作して、その光双安定性特性について調べた。2枚のミラー間に色素(亜鉛フタロシアニン)のメタノール溶液あるいは半導体(ZnTe,テルル化亜鉛)結晶を挿入したファブリペロー共振器と半導体レーザーを組み合わせた純光学的光双安定系を製作した。この系では光照射によって屈折率が変化を示す。この非線形光学効果による光双安定性を観測し、双安定性動作の時間応答について調べた。この系は、高速動作する純光学的ストカスティック共鳴の実現への可能性を与える。
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