研究課題/領域番号 |
14340117
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 直樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40142202)
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研究分担者 |
中田 允夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90088849)
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キーワード | 伸長流動場 / 流動複屈折 / コイル・スレッチ転移 / 臨海歪速度 / 最長緩和時間 / ポリスチレン / DNA / 蛍光偏光顕微鏡 |
研究概要 |
(1)屈曲性高分子のコイル・ストレッチ転移の観測:屈曲性高分子ポリスチレン(PS)の良溶媒、θ溶媒溶液の、伸長流動複屈折測定を行いコイル・ストレッチ転移(CST)を観測し、同時に固有粘度を測定した。単分散PSで分子量80万〜600万の6種類を用いた。CSTの臨界歪速度ε^^._cから、Zimmモデルに従って分子最長緩和時間τを求め分子量指数を決定した。θ溶媒についてはZimmモデルから予想される値が得られたが、良溶媒では理論値よりも小さな値になった。固有粘度の分子量指数値は良溶媒、θ溶媒系とも理論値どおりであることから、ε^^._cとτの関係の可否が問われた。 (2)DNAおよびDNA誘導体のコイル・ストレッチ転移の観測:近年、高純度のDNA分子が工業的規模で調整できるようになり、DNA分子が安価で入手可能となった。本研究では、DNA分子を用いてPSで行ったのと同様の実験を行うため、大量のDNA分子が必要となる。そうした大量調整DNA試料の可能性を調べるため、サケ白子から抽出した分子量(6x10^6Da)のDNAと、そのDNA分子の周りにセチルトリメチルアンモニウムを会合させたDNA-CTAの伸長流動複屈折測定を行った。phage DNA分子(分子量>10^7Da)は屈曲性パラメータf(=分子鎖長/持続長)が、分子量約10^6DaのPSと同程度で、CSTが観測されている。今回、DNA分子ではCSTの兆候が観測できず剛体棒状としての挙動をみせた。これはfが10^4Da以下のPS程度に減少したためと考えられた。DNA-CTAではDNA分子の周りに脂質の鞘があり、DNAよりも硬いと予測されたが、CSTによると思われる流動複屈折が観測された。この結果はDNA-CTAの方がDNAよりもfが大きいことを意味する。 (3)蛍光偏光顕微鏡の製作と調整:流動複屈折発生中の分子の形態を直接観察するための装置として蛍光偏光顕微鏡を設計し製作した。現在調整中である。
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