| 研究課題/領域番号 |
14340122
|
|---|
| 研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
|---|
研究代表者 |
伊藤 孝 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (60107159)
|
|---|
| 研究分担者 |
藤原 進 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (30280598)
深尾 浩次 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50189908)
猿山 靖夫 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50162532)
橋本 雅人 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (00273540)
|
|---|
| キーワード | 高圧下光変調DTA / 高温高圧下比熱測定 / 一次相転移 / 二次相転移 / フッ素系共重合体結晶 / 3種類の低温相 / 放冷相 / 高温相 |
|---|
| 研究概要 |
高分子結晶において、二次相転移、もしくは臨界点の存在が厳密に証明された例はこれまでなかったが、私たちは最近、ポリアミド結晶において二次相転移を見出した。この研究において、高温高圧下の構造解析実験が重要な役割を果たしたが、一方、相転移を議論するときに欠かすことのできない情報である定量的比熱測定が、国際的にみても、高圧下ではこれまでほとんどなされてこなかったことに私たちは気付いた。そのことが、本研究を開始した動機である。
本年度は、昨年度作製した、高圧下光変調DTA (HPLMDTA:高圧技術と新しい比熱測定法である光加熱式温度変調法を組み合わせることにより、高圧下における比熱測定を行えるシステム)を用いて、本装置試作の本来の目的である、高分子結晶における相転移現象の熱測定解析を行った。さらに、誘電測定、光学顕微鏡観察、計算機シミュレーション等による研究を遂行した。
試料としては、比較的低温で明瞭な強誘電相転移を示すフッ化ビニリデン(VDF)-三フッ化エチレン(TrFE)共重合体結晶を用いた。この結晶は、VDF分率が低い場合、放冷相(CP)から高温相(HP)への連続変化を示し、VDF分率あるいは圧力が高い場合、低温相(LP)からHPへの不連続変化、すなわち一次相転移を示すが、二次相転移の出現については議論があった。HPLMDTAを用いた解析の結果、高圧下における昇温過程では、相転移の起きる直前にCPからLPへの転移が生じ、引き続いてLPからHPへの一次相転移が発現する事が分かった。また、これまで報告されていたLP以外に、2種類の低温相の存在が明らかになった。これらの結果は本装置の高い有用性を示している。今後さらに、相転移、結晶・球晶の成長・融解、ガラス転移などの研究に本装置を応用していく予定である。
|
