研究課題/領域番号 |
14340141
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
淡路 敏之 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40159512)
|
研究分担者 |
根田 昌典 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10273434)
石川 洋一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70335298)
深澤 理郎 海洋研究開発機構, 地球観測フロンティア研究センター, プログラムディレクター (10143546)
|
キーワード | 海洋データ同化 / 4次元熱配分 / 予測 |
研究概要 |
最終年度の研究内容である(1)1990年代全球海洋長期再解析データセットの品質調査、(2)四次元変分法再解析データセットによる太平洋の状態推定と熱・物質循環構造の評価、及び(3)逆解析による水塊起源の解析に関して、北太平洋表層構造を特徴づける亜寒帯域の中冷・中暖水、亜熱帯域を特徴づける各種の亜熱帯モード水、中層循環を特徴づける南北太平洋中層水の分布と季節・経年変動の現実的再現に成功するとともに、熱帯の経年変動を特徴づけるエルニーニョの詳細な時空間構造を、海面水温偏差0.8度以内で再現するなど、本データセットは現在国際的に流通しているどの再解析データセットよりも優れたものであることを示した。これを用いて推定した南北両太平洋におけるオーバーターンに伴う南北水・熱輸送量の時系列緯度別分布は観測的知見と概ね一致することを確認した。亜寒帯域の代表的水塊である中冷水の起源はアラスカ副循環と西部亜寒帯副循環の境界周辺で冬季にサブダクトとする混合水であり、一方その直下の中暖水は黒潮続流の季節的マイグレーションと連動した渦活動により切離した亜熱帯水が起源であることを突き止めた。また、これまで未解明であった東部亜熱帯モード水形成にかかわるプレコンディショニング機構をはじめて解明することに成功するとともに、北太平洋表層・中層循環理論に欠けていた西岸境界からの渦位供給効果を考慮した循環構造の統一的解釈に道を拓く新たな理論構築を行った。以上の成果は気候分野での重要な国際会議であるCLIVAR等にて招待講演を行うとともに、国際誌に発表・投稿した。
|