研究分担者 |
堤 雅基 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助手 (80280535)
宮原 三郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70037282)
山岸 久雄 国立極地研究所, 研究系, 教授 (20132714)
佐藤 薫 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助教授 (90251496)
村山 泰啓 独立行政法人通信総合研究所, 電磁波計測部門, グループ長 (00359001)
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研究概要 |
極域大気潮汐波のレーダー等による観測と理論・数値シミュレーションを結びつけることを基本とし、EISCATレーダその他の極域レーダ観測と解析を行うとともに、極地研潮汐波モデリングコード、九大中層大気循環モデルに加え、米国ボウルダーにおいてコロラド大学および国立大気研究センター(NCAR)における共同解析研究を通じて、NCARで開発中のWACCMモデルによる数値計算との比較検討などが並行して進められた。 (1)EISCATレーダ(EISCAT, ESR)は,緯度70-80度の熱圏大気潮汐波の様相をキャンペーン的に,またロングイヤビン流星レーダNSMR等は90km高度の風系や温度の潮汐波成分を熱圏GCMモデルの下側入力データとして連続的に探測している。これらに加えて、南極昭和基地および通総研アラスカのMFレーダデータならびに、極域HF帯SuperDARNレーダの流星モードデータ処理等を総合した潮汐波の解析等が進められた (2)EISCAT, ESR、流星,MF, HFレーダー等の観測をもとに,極域中層大気・熱圏における24,12,8時間各大気潮汐波成分の季節変化のクライマトロジー、ノンマイグレーティング潮汐の検討などが行われた南極MFレーダーおよびナトリウムライダーでは、南極中間圏界面領域の12,8,6時間周期の大気潮汐波について解析し、一部の成果は論文として発表した。更に南北両極の対称性、非対称性の解析も行われた (3)ロングイヤビンの50MHzSOUSYレーダ(SSR)の夏季PMSEエコーを利用した中間圏界面付近の観測と流星レーダーとの大気潮汐波結果の同一の解析プログラムを用いた直接比較からは、潮汐波位相の一致とともに振幅の系統的な違いからSSRにおける斜めビームエコーのaspect依存性の影響も明らかにされた (4)これらの観測解析と両輪をなすものとして、九州大学中層大気循環モデル(Kyushu University Middle Atmosphere General Circulation Model, KUMA-GCM)や極地研の大気潮汐波モデリングコード(Atmospheric Modeling Tidal2、ATM2)との比較やATM2による極域8時間大気潮汐波の検討が行われた とくに8時間潮汐のモデル計算から、この成分が平均流を考慮した潮汐波の屈折率分布により、基本モードより反対称(3,4)モードが高高度で卓越し、これがGCMモデルの結果とも一致することが確認された さらにNCARで開発中のWACCM(Whole Atmosphere Community Climate Model)モデルデータにつき観測と同じ10日平均の潮汐波解析を行い、流星レーダ観測との詳しい比較がなされた またKUMA-GCMモデル(T21L55)により得られたデータを解析し,極域下部熱圏で卓越する西進する東西波数1の半日潮汐波が,成層圏・中間圏の定常プラネタリー波とマイグレーテイング半日周期潮汐波との非線形相互作用により励起されること、またこの非線形効果により西進する東西波数3の半日潮汐波も励起されること等が示された.
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