研究課題
2003年11月の9日間にわたるEISCATキャンペーン観測データをもとに、トロムソ流星レーダーとの水平速度場の大気潮汐成分の比較解析を行い、高度方向に両レーダーの振幅位相解析結果が概ね滑らかに繋がる結果を得た。また、EISCATレーダー観測によるイオン温度値から中性大気温度に対する大気潮汐成分解析の初めての試みを行い、熱圏潮汐のモデルとの比較検討を行った。さらに、同じ緯度帯のほぼ軸対称の位置にあるポーカーフラットMFレーダーとトロムソ流星レーダーによる風速の1時間値に対して、同一の調和解析プログラムによる大気潮汐波解析を行い、これらの比較から夏季の半日周期成分にノンマーグレーティング成分が卓越することは南半球MFレーダー等により示される結果と異なり、北半球では顕著には見られないこと、これはまた冬極30km高度でのプラネタリ波活動度の南北非対称性とモデル計算で示されるノンマイグレーティング成分の反対半球への伝播などに基づく考察と符合することを見出した。また流星レーダーによる風速のパワースペクトルが1日周期については単一のピークを示すのに対し、半日周期成分の近傍には10-11hや13-14hにもピークがみられ、これがGCMによる結果で示される下層でのさまざまな変動に起因する振幅振動に対応することを見出した。流星レーダー観測では従来は潮汐風観測が主な対象であったが、本研究において重力波による大気温度変動の検出を試み、重力波と潮汐波の間の相互作用の研究の可能性について検討を行なった。また、アラスカ・ポーカーフラットMFレーダー観測を含めたMLT領域の潮汐風について、1日周期・半日周期成分の季節変動等について調査した結果、例えば、半日周期成分の秋季の振幅増大は、線形理論の範囲内で背景場の変動から説明できる可能性のあることなどが明らかになった。理論モデリングにおいては、新たに開発したT42L250モデルによる数値積分の結果を用い、non-migrating diurnal tidesの励起機構について解析を実行した。この結果、高度100km付近の東西波数0の1日潮汐波・西進東西波数2の1日潮汐波については、成層圏中間圏の冬半球に卓越する東西波数1の定常プラネタリー波とmigrating diurnal tideの非線形相互作用が励起に重要な役割を果たしていることがわかった。また南極昭和基地の過去約42年に亘る、地上気象データ(1時間値)をもとに2時間から20年の広い周波数範囲のなかでの潮汐波のスペクトル解析を行い、1日潮およびその第3高調波(8時間)までのピークの検出や季節変化等について明らかにした。
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