研究概要 |
中生代ジュラ紀の珪質岩試料を,ヨーロッパアルプス(スイス,イタリア,スロベニア)において採取した.これらの試料について,薬品処理を施し,放散虫化石群集を得た.スロベニアからの試料は,ジュラ紀古世トアルシアン期の海洋貧酸素環境の時期に形成されたと考えられている黒色チャートである.この試料の年代位置づけを確かめるために,国内で得られたトアルシアン期の放散虫群集について,群集組成の検討を行った.その結果,日本の群集はスロベニアの群集とよく似ていることが明らかになった.今後,他の産地からの試料についても、日本の群集と比較検討する予定である.ヨーロッパアルプスからの試料は、今後,酸素同位体比測定に供される. 酸素同位体用試料調整装置については,ラインが組みあがった.二酸化炭素レーザ発生装置の搭載が終われば,装置が完成する見通しである.安定酸素同位体比については,来年度早々にデータを出していく目処がついたといえる. ペルム紀からジュラ紀までの堆積年代をもつチャートから構成される,関東山地秩父帯の両神山チャートについて地質図をまとめ,地質学雑誌に公表した.この論文の中で,これまで未報告であったジュラ紀中世の珪質岩が両神山チャート中に存在することを示した. 福井県南条山地から産出するジュラ紀トアルシアン期の放散虫についての研究成果を,国内の放散虫研究集会(2003年6月筑波大学)および国際放散虫研究集会(2003年9月スイス・ローザンヌ大学)で発表した.その発表内容を放散虫研究集会の論文集に投稿中である.
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