研究概要 |
ベトナム中部・コンツム地塊はカンナック岩体,ンゴック・リン岩体,およびカム・ダック岩体に区分され,それぞれを代表する変成岩類について変成条件・変成プロセスの精密解析を行った.その結果,カンナック岩体からは1000〜1050℃・約1.1GPa以上の最高変成条件をしめすザクロ石-斜方輝石-珪線石片麻岩(泥質片麻岩),ンゴック・リン岩体からは950〜1000℃・約1.4GPa以上をしめすザクロ石-単斜輝石-石英グラニュライト(苦鉄質グラニュライト)が見出された.こららの超高温変成岩類では,エクロジャイト相からグラニュライト相へ至る等温減圧過程も明らかになった.またカム・ダック岩体からは,比較的低温で高圧条件をしめす,含十字石ザクロ石-藍晶石-白雲母片岩およびザクロ石-藍晶石-黒雲母片岩が見出された.これらの成果に既存のデータを加えて再検討した結果,コンツム地塊は低温高圧型と高温〜超高温中圧型の変成岩類からなる"対"が2つ存在する,衝突帯型の変成岩分布地域と見なすことができるようになり,それぞれの境界は大規模な剪断帯あるいは縫合帯であることが明らかになった. また,Sm-Nd内部アイソクロン法により一部の変成岩類について年代測定を実施した(他の年代測定は,測定装置の順番待ち中).その結果,コンツム地塊の変成岩類は,原生代末期のパンアフリカン変動による変成作用と,トリアス期初期のアジア大陸形成期における衝突帯型変成作用を重複して被ったことが明らかになり,インドシナクラトンのテクトニクスを検討する基礎データを得ることに成功した.これらの成果は,ゴンドワナ超大陸のテクトニクスとも深く関連しており,共同研究者による成果報告を含み,平成14年度内に6編の公表論文,1つの国際誌編集,および6編(国際シンポを含む)の学会等発表として報告した.
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