研究概要 |
本研究は,海洋表層から供給されてきた生物源物質がSWIでどのように消費され変質していくのかという続成過程を,海底現場での観測と室内実験を通じて明らかにすることを目的にしている。とくに,海底表層部に生息する微生物(有孔虫を含むメイオベントスおよびバクテリア)がどのように有機物を分解していくのかに注目する。研究では,海底現場でのSWIの観測と実験室内において同位体でラベルした有機物を添加し,その消費過程を追跡する実験を行うことを通じて,SWIにおける有機物の変質過程を明らかにする。 研究は,相模湾中央部における現場での観測と実験,および室内での飼育実験を行った。 (1)海底現場 @ Sediment-Water Interfaceの観察・化学分析・イメオベントス解析(北里・小栗・中塚・和田,Heinz, Glud, Tengberg担当):NT03-10航海において,現場観測と実験および表層が未撹乱な堆積物試料の採集を行った。堆積物表層部の微小環境はplaner optode, microelectrode systemを用いて,2D-酸素濃度分布を観測した。酸化層は5-8mmと薄いが,ダイナミックに変化する様子を明らかにした。また,有孔虫類を北里が,バクテリアをHeinzが堆積物試料から分離し,群集構造を解析している。 @現場飼育実験(北里・中塚・Heinz担当):航海の折りに,現場有機物添加実験を相模湾中央部で行った。添加する有機物は安定同位体C-13で標識し,ガスマスを用いてメイオベントスによる有機物摂取と変質過程をトレースした。有孔虫種による餌に対する反応の違いを明らかにした。 (2)実験室 @室内実験(北里・小栗・中塚・和田・Heinz担当):室内型planer optodeを開発し,水槽中の堆積物表層に見られるSWIの酸化-還元状態を観測している。
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