研究概要 |
平成14年度の取り組み 海底熱水鉱床生成場の変遷を解明として,次の3つを解明するのが目標である. 1.現世の海底熱水活動を詳細に観察し生成環境を解析する. 2.熱水活動で生成し,プレートに運ばれ陸上に乗り上げたVMSDを現世の海底熱水活動と対照する. 3.含金黒鉱鉱床の成因が浅所で形成された小規模カルデラに関連していることを証明する. 平成14年度の成果 (1)現世の海底熱水活動として,北フィジー海盆及びマヌス海盆の海底熱水活動による沈殿物である鉱石を観察し,海底熱水活動の多様性を明らかにしつつある.海底火山活動と鉱化作用,マグマと循環海水との反応,硫化鉱物の結晶成長機構が,多くの組織観察とICP-MS分析からに明らかになった. (2)陸上に乗り上げたVMSDとしてオマーン国グザイン鉱床を取り上げ,その鉱化作用,関連火成岩と熱水鉱化作用を明らかにした. (3)現生のカルデラの解析を行うとともに,黒鉱生成期である中新世に形成されたカルデラを斜度図から解析した.北鹿の温川含金黒鉱鉱床の成因が浅所で形成された小規模カルデラに関連しているとの仮説の下,カルデラと金鉱化作用の関連性を,そのカルデラ及び黒鉱鉱床のサイズ,金含有量などを化学的に解明,カルデラがの重要性を明らかにした. 平成15年度以降の最重点課題 1.陸化したVMSD鉱床:オマーンのグザイン鉱床,下川鉱床を選択し,硫化鉱物中の安定同位体比,遷移金属元素,PGEの局所分析をおこなう. 2.緑泥石などの変質粘土鉱物を主とする珪酸塩鉱物,炭酸塩鉱物,酸化鉱物中の希土類元素(REE)局所分析をおこなう. 3.熱水から晶出した鉱物の共生関係,主成分および微量成分の化学組成から,熱水-結晶間の元素の分配データ等をもとに,熱水の温度,圧力,pHなどの地下環境の推定する.その機構をさらに検証し明確化するため上記鉱石の流体包有物の分析をおこなう.
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