平成15年度の成果の1つはカソードルミネッセンス(以下CLと略す)に色をつけることに成功したことです。これは赤、緑、青の3枚のフィルターを付けて3枚のCLのイメージを取り、それらをコンピューターソフト(Photoshop)上で合成することによって得られます。このようにして得られたカラー画像は、フィルターの透過度等の要素によって自然なカラー画像とは色合いが異なるのが欠点ですが、逆に各色の明るさをソフト上で変化させることにより、色の違いを強調できるメリットがあります。 上記のカラーCLイメージを使った研究成果の1つとして、隕石中のアメーバー・オリビン・アグリゲイトの変成度をCLカラーによって見分けることができることを示しました。これはオリビンでは主にMnとCrがCLの赤い発光を担っているのですが、これらの元素が変成によってオリビンに入るため、変成度の高いアグリゲイトでは赤い発光が強く、変成度の低いアグリゲイトとは色が異なって見えるためおきる現象と考えられます。 また、隕石中のアノーサイトのCLが赤、青、緑などさまざまな色を示しその明るさも隕石によって異なることを見出しました。これらは隕石の熱履歴を反映するものと考えられます。これらの試料は今後二次イオン質量分析を行い年代を求めることになります。以上のようにCLが隕石の研究に大変役立つことが示されました。
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