研究課題/領域番号 |
14340171
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中村 昇 神戸大学, 理学部, 教授 (90030791)
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研究分担者 |
山下 勝行 神戸大学, 理学部, 助手 (50322201)
岡野 修 岡山大学, 理学部, 助手 (10233355)
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キーワード | 始原的隕石 / エイコンドライト / 神戸隕石 / 隕石母天体 / 星雲過程 / 希土類元素パターン / 変成年代 / 塩素同位体 |
研究概要 |
本研究は始原的隕石と分化隕石の相互の生成・進化過程とそのタイムスケールを詳細に探る目的で、始原的隕石及びその構成成分、熱変成コンドライト、始原的エイコンドライト隕石に焦点を当て、希土類元素などの微量元素の精密定量と長寿命・短寿命核種および安定塩素同位体の精密な質量分析を進めた。 従来最も分析が困難とされていた炭素質隕石(アエンデ)の純粋なマトリックスの微量元素分析に初めて成功し、詳細な希土類元素パターンを明らかにした。その結果は従来の星雲・母天体起源説に対し星雲説に有利な証拠とされ、炭素質コンドライトの生成過程の議論に一石を投ずることになった。また、以前から研究を継続しているアエンデ隕石のコンドリュールのRb-Sr同位体系について新しいデータ解析手法を開発し、アエンデ隕石母天体の後期の変成年代(44億年)を確立した。さらに熱変成(CK)炭素質コンドライトの神戸隕石について精密なU-Pb年代決定(4512±17Ma)に成功すると共に、詳細な化学・鉱物学的記載をした。その結果、炭素質コンドライト母天体の熱変成年代が初めて明らかになると共に熱史の重要な特徴(初期の熱変成作用と衝撃変成過程)を明らかにした。 新たな消滅核種の同位体系(^<135>Cs-^<135>Ba)の確立のため、標準試薬を用いてかつてないほどめ精密なバリウム同位体分析法を確立した(^<135>Ba/^<138>Ba比の精度:±10ppm以内)。また、アエンデ隕石の同位体比が(^<135>Ba/^<138>Ba比で17-27ppmだけ)高い(予備的)結果が得られた。この結果は同位体比異常の問題を含め今後の展開に注目すべき手がかりである。 アエンデ隕石および9コの標準岩石の精密な塩素同位体比(^<37>Cl/^<35>Cl)を測定し、詳細な塩素同位体比の変動(標準海水に対する値:δ^<37>Cl_<SMOC>=0〜5‰)を明らかにした。
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