研究課題/領域番号 |
14340177
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大橋 信喜美 金沢大学, 理学部, 教授 (40019493)
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研究分担者 |
藤竹 正晴 金沢大学, 理学部, 助教授 (40212188)
川嶋 良章 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (60131009)
廣田 榮治 総合研究大学院大学, 名誉教授 (30011464)
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キーワード | ペプチド分子 / マイクロ波スペクトル / 回転スペクトル / 内部回転 / two-top molecules / フーリェ変換スペクトル |
研究概要 |
(1)金沢大学理学部においてノズル・ジェット・フーリエ変換マイクロ波分光計を導入しペブチド系分子を研究対象とする分光測定を開始すべく、前年度(平成14年度)に引き続き、鋭意その構築に努めた。マイクロ波発信源、受信系、パルス信号制御系等の装置を導入してその整備を行いつつ、吸収セル共振器の製作の完成にこぎ着けた。その上で、システム全体の調整を終え、現在、スペクトルの本格測定の入り口に立ったところである。 (2)神奈川工科大学で、既設のフーリエ変換マイクロ波分光計の拡充・整備を計ったうえ、1-1dimethylmethylsilacyclobutane(DMSCB)の純回転スペクトルを測定・解析を行った。このDMSCBは2個のメチル基の内部回転および4員環のリング・パッカリング運動と言う3個の大振幅運動を有して興味深く、生体関連分子の内部運動を理解する上で有用な分子種と言える。そのスペクトル解析は、伝統的な内部回転問題の解法をリング・パッカリング運動を含む場合に拡張した方法に加えて、置換-反転群に関する群論的手法を併用して行った。特に、後者の群論的手法によるスペクトル解析には、金沢大学チームからもその研究に参加した。この成果は、論文としてまとめられ、現在、Journal of Molecular Spectroscopy誌に投稿中である。 (3)アメリカ国立標準工業研究所(NIST)で測定されたN-methylacetamide(NMA)のフーリエ変換マイクロ波吸収スペクトルの詳細な解析を完成させた。特に、二個のメチル基の内部回転運動に対するポテンシャル障壁の値とそれらの間の相互作用の大きさを精密に決定したことは、生体機能を考えるうえで、重要な基礎的データを提供するものであると云えよう。この成果は、日米間の共同研究論文としてまとめられ、現在、Journal of Molecular Spectroscopy誌に投稿中である。
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