和周波混合分光法で二重共鳴実験を行うため、第二次高調波のブランチにOPG/OPAシステムを取り付けた。又、それに併せて第二次高調波の出力を上げるため、YAG本体のKDP結晶を大きなものに変え、基本波からの変換効率を高めるとともに、OPG/OPAシステムによる可視光の強度増大をねらった。これにより100μJの紫外光を得る事が可能となった。これにより、不斉炭素を有する液晶化合物の単分子膜においてSFG-CDスペクトルを得ることに成功した。 一方、関連する実験として、和周波混合分光法をイオン液体[bmim]PF_6、[bmim]BF_4の気/液界面における分子配向測定に適用した。イオン液体はグリーンケミストリーや電気化学などでの応用が期待される化合物であるが、これまでは表面・界面の構造研究がほとんど行われておらず不明な点が多々あった。幾つかの偏光組み合わせにおける和周波混合スペクトルを解析したところ、ブチル基末端が界面に対してほぼ垂直に立っていることを明らかにした。また、この基本構造はカウンターアニオンに大きく依存しないこと、ならびに鎖長にも殆ど依存しないことがわかった。単分子膜の評価方法として軟X線吸収分光法(NEXAFS)を用いているが、幾つかの機能性有機化合物において自己組織化法を用いた膜作成を行い、和周波発生法の解析に必要な構造に関する基礎データを得た。 今後はビナフトール系のキラル化合物における二重共鳴和周波混合分光スペクトルを、OPG/OPAブランチを用いて取得し、分子構造とキラル情報の伝播に関する相関を幾つかの誘導体化合物に関して行う。
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