研究概要 |
本研究の目的は,我々が最近成功した粉末試料での^<14>Nの高分解能NMR測定を一般的に行えるように完成すること,および,主にペプチドなど生体分子の構造研究に応用することである.この目的に向かって,14年度は1)測定に必要なNMR装置の制作を行い,2)理論的な検討を行った. 1)NMR装置の構築 本研究には,マジック角試料回転(MAS)下の試料に,^<13>C,^<14>Nのオーバートーン,^1Hにラジオ波照射が可能な三重共鳴NMRシステムが必要である.予備的な実験は,4.7T用の自作の二重共鳴NMR装置に自作の^<14>N照射ユニットを用いて行ったが,^<14>N照射周波数の掃引は手動で行わなければならないことや,照射の位相の設定が難しいなど,ペプチドなどの実際の試料に適用するには困難なことがわかった.そこで,本研究では,三重共鳴用NMR送受信機を購入し,現有の磁場,パワーアンプ,自作プローブと組み合わせることで,最適な条件で^<14>Nとの観測が行えるようなシステムを構築した.また,MAS試料回転周波数のモニターと安定化のための装置も自作・開発した。 2)間接測定された^<14>N線形の理論的な解釈 本手法においては,^<14>Nの線形は^<13>Cの線幅として間接的に測定される.得られた四重極パラメータから,窒素核周りの電子状態や構造にたいする知見を得るために,まず,四重極パラメータの既知の簡単な分子を用いて,Gaussian-98などのab initio分子軌道計算による評価を行い検討した.
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