蛋白質・核酸の電子状態並列合成法と構造機能解析システムの開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14340185
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 青木 百合子 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10211690)
• 研究分担者: 仲 一成 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30314727) ; 竹田 邦雄 岡山理科大学, 工学部, 教授 (10113193) ; 今村 詮 広島国際学院大学, 工学部, 教授 (70076991)
• キーワード: 階層的合成法 / 高分子 / 電子状態 / MOPAC / ポリエチレン / ポリシラン / 局在化分子軌道 / 構造転移

研究概要

高分子の並列合成法を構築する上での原理的な計算手法を、まず逐次的な高分子の電子状態合成法に対して可能になるよう開発を行なった。複数本の高分子鎖を同時に接続できるよう、複数の末端水素を攻撃分子側のラジカル原子の2s軌道に複数個を置換できるよう改良したうえ、ポリエチレン3本鎖に適用し、全系計算との良好な一致を得ることが出来た。この方法の延長線で、二重結合の部分でユニット間を切断することも可能となる。
また、化学結合系からなる高分子鎖を非経験的MO法のレベルでも計算可能となるようプログラムGAMESSに電子状態合成法を組み込み、RHF, UHF, ROHF, DFT法のレベルで計算可能となるよう開発を行った。さらにプログラムGAMESSに含まれているMOPAC部分にも組込み、経験的および半経験的両方で実行可能となるよう発展させた。
さらに、一電子エネルギー項と密度行列のみから、ビリアル定理によってポテンシャル項を機械的に算出する全エネルギーが、全エネルギーをまともに計算した結果に対して良い近似となることを確認した。本方法はAO-CUT後の全エネルギーの計算方法として有効であることが期待され、エネルギー勾配法と組み合わせて効率的な高分子の構造最適化法となるよう開発している。
一方で、機能解析システムのひとつとして、高分子の超分極率が効率良く計算可能となるよう、ハミルトニアンに電場の効果を導入して全エネルギーの電場勾配を数値的に見積もるElongation-Finite Field法を開発し導入し、ポリパラフェニレン置換体、ポリパラフェニレンエチニレンのPush-Pull置換体に適用し、2次非線形感受率が、中心対称性がBrokenした系においてユニット数とともに増大することを確認した。

研究成果

• [文献書誌] Y.Kawabata, T.Itaya, K.Ueda, H.Ochiai, Y.Aoki, A.Imamura: "Novel-Type Charge-Transfer Complex Formation between Indoxyl Sulfate and Anthraquinonesulfonate Ions in an Aqueous Polyelectrolyte Solution"Polymer Journal. 35(1). 50-55 (2003)
• [文献書誌] F.L.Gu, Y.Aoki, A.Imamura, D.M.Bishop, B.Kirtman: "Application of the Elongation Method to Nonlinear Optical Properties : Finite Field Approach for Calculating Static Electric (Hyper)polarizabilities"Molecular Physics. 101(10). 1487-1494 (2003)
• [文献書誌] B.Champagne, D.Jacquemin, F.L.Gu, Y.Aoki, B.Kirtman, D.M.Bishop: "Pseudo Linear-Dependence Dependence and Long-Range Interaction Effects on the Polarizability and Hyperpolarizabilities of Stereoregular Polymers"Chem.Phys.Lett.. 373(5-6). 539-549 (2003)
• [文献書誌] Y.Kawabata, T.Itaya, K.Ueda, Y.Aoki, A.Imamura: "A Theoretical Treatment of Charge-Transfer Interaction in an Aqueous Solution of Polyelectrolyte"Polymer Journal. 35(7). 573-577 (2003)
• [文献書誌] Y.Orimoto, Y.Aoki: "Ab initio MP2 TS/TB Analysis of an Enhanced Hyperpolarizability βvalue by Considering the Effect of Electron Correlations in Donor-σ-Acceptor Systems"Phys.Rev.A. 68(6). 063808 1-063808 6 (2003)
• [文献書誌] T.Tada, Y.Aoki, A.Imamura: "An analytical Molecular Orbital Approach in Tetrathiafulvalene Tetracyano-Quinodimethane (TTF-TCNQ)"Molecular Physics. (掲載予定).