研究課題/領域番号 |
14340187
|
研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
鳥海 幸四郎 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90124221)
|
研究分担者 |
満身 稔 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20295752)
小澤 芳樹 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40204200)
|
キーワード | 光励起状態 / 光誘起反応活性種 / X線構造解析 / 放射光 / 低温構造解析 / レーザー照射 / 低温真空X線カメラ |
研究概要 |
複核白金(II)錯体の光励起構造解析 緑色の強い発光を示す複核白金(II)錯体(n-Bu_4N)_2H_2[Pt_2(pop)_4](pop=H_2O_5P_2^<2->)について、単結晶X線回折法により光照射に伴う構造変化を解析した。光照射に伴う回折X線の強度変化は、試料を54Kに冷却し、He-Cdレーザーからの442nmのCW光(100mW)を照射して、SPring-8からの高輝度X線を用いて、低温真空X線カメラと多重露光法を用いて測定した。 光照射時と非照射時のそれぞれの反射強度データについて構造解析を行ったところ、格子定数および原子座標にはほとんど変化は見られなかった。しかし、光照射時の温度上昇を補正して、光照射時と非照射時の構造因子の差(|F_<on>|-|F_<off>|)を係数としたフーリエ合成図を計算したところ、白金原子の近傍に白金原子の一部が移動したことを示唆する正と負の電子密度のピークが対になって観測された。光照射に伴う構造変化を定量的に解析するため、光照射に伴い白金原子の一部が正のピークの方向へ移動したとして、反射強度の変化量について最小二乗計算を行い、励起状態の分子構造を求めた。この結果、白金原子の約1.4%が光照射に伴って移動し、白金-白金間距離は2.70(4)Åと基底状態に比べて0.23Å短くなっているという興味深い結果が得られた。この結果は分光学的に予想されていた結果と良く対応する。 光誘起ラジカル対のX線構造解析 ヘキサアリールビイミダゾール誘導体(o-Cl-HABI)について、SPring-8の低温真空X線カメラを用いて、23Kで紫外光照射することにより新たな光誘起ラジカル対のX線構造解析に成功した。これにより、熱的に不安定な反応活性種でも極低温で光照射することにより熱的に凍結して構造解析できることを初めて示した。
|