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2002 年度 実績報告書

安定なケイ素ラジカルの合成と多重スピン系への展開

研究課題

研究課題/領域番号 14340192
研究機関群馬大学

研究代表者

松本 英之  群馬大学, 工学部, 教授 (90008467)

キーワードラジカル / シリルラジカル / 安定ラジカル / ポリシラン / ラダーポリシラン / ラダーポリシロキサン / アニオンラジカル
研究概要

本年度において、以下の知見を得た。
1)分岐型オリゴシランを前駆体とする安定なシリルラジカルとして、トリス(トリイソプロピルシリル)シリルラジカルを結晶として単離することができた。このラジカルは、トリス(トリイソプロピルシリル)シランからのSi-H水素原子引き抜き反応もしくはブロモトリス(トリイソプロピルシリル)シランのアルカリ金属による一電子還元反応によって、ほぼ定量的に生成される。これら不対電子化学種の構造パラメーターと吸収特性や発光特性を調べまた、このラジカル種は、ベンゼン、トルエン等の芳香族溶媒によって安定化されることも判明した。このような溶媒効果の発現は、本研究によって初めて見出された知見である。
2)本研究の準備段階において、申請者独自の多環系ポリシランであるラダーポリシランから、アルカリ金属による一電子還元によって、安定なラジカルアニオンが生成できることを見出した。今年度においては、このラダーポリシランのラジカルアニオンが結晶性固体として単離可能であることを見出した。また、不斉中心を有するアルキル基(例えば、(R)-および(S)-sec-ブチル基)を置換基とするキラルなラダーポリシラン(右捻れもしくは左捻れ形)の合成に成功した。これらの結果から、キラルなラダーポリシランの一電子還元による不対電子化学種の生成に関する知見を得ることができた。
3)ラダーポリシランに関連して、末端にフェニル基を有する三環式および五環式ラダーポリシロキサンを合成することができた。末端のフェニル基は脱フェニルハロゲン化によって塩素や臭素原子に変換することが可能である。したがって、この結果を基にして、ケイ素-酸素-ケイ素結合で不対電子を孤立化させたポリシリルラジカルの生成について検討するための準備ができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] M.Unno, A.Suto, H.Matsumoto: "Pentacyclic Laddersiloxane"J. Am. Chem. Soc. 124. 1574-1575 (2002)

  • [文献書誌] R.Tanaka, S.Kyushin, M.Unno, H.Matsumoto: "Chiral Crystallization of anti-Dodecaisopropyltricyclo-[4.2.0.0^<2,5>]octasilane"Entiomer. 7. 157-159 (2002)

  • [文献書誌] K.Yamada, M.Unno, K.Kobayashi, H.Oku, H.Yamamura, S.Arai, H.Matsumoto, R.Katakai, M.Kawai: "Stereochemistry of Protected Ornithine Side Chains of Gramicidin S Derivatives : X-ray Crystal Structure of the Bis-Boc-tetra-N-methyl Derivatives of Gramicidin"J. Am. Chem. Soc.. 124. 12684-12688 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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