研究概要 |
チアカリックスアレーン誘導体を金属イオン集積・クラスター化配位子とする新たなナノ金属クラスター錯体の構築手法三種を確立するとともに,世界で4例目と言える単一次元鎖磁石の創出に成功した. 1)チアカリックス[6]アレーンを鋳型とする第一遷移金属錯体の逐次多核化法により,4つのNi(II)イオンが四角錐の底面,Mn(II),Co(II),ないしCu(II)が四角錐の頂点を位置選択的に占める混合金属五核錯体の創出に成功した. 2)スルホニルカリックス[4]アレーンと前期〜中期ランタノイドイオンとの反応により,8個のランタノイドイオンが車輪状に配列し分子量が5000を越える巨大分子の合成と構造解析に成功し,『ランタノイドホィール』と命名した.1),2)のクラスター錯体生成において,中間体となる分子量のより小さい中間体の単離に成功していることから,今後,金属イオンの逐次集積による異核金属配列の精密制御へと研究が展開することが期待される. 3)スルホニルカリックス[4]アレーン上に第一遷移金属イオン4個を配列させることにより,平面四角形型の四核クラスター錯体の合成に成功した. 4)ビスピリジルカルボニルアミンを配位子とするFg(II)一Fe(III)混合原子価一次元鎖上錯体について交流磁化挙動の詳細を調べ,本錯体が単一次元鎖磁石となることを見いだした. この他にも,5)3個のルテニウム三核クラスター錯体を連結し,それ自体が配位子となる巨大な錯体配位子を合成した.この錯体配位子はZn(II)イオン存在下,二酸化炭素の電解還元触媒として働くことを見いだした.
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