研究概要 |
(1)フェノール酸素を橋架け基として3座及び4座金属結合サイトをもつ'end-off'型コンパートメント配位子を用いて、Cu(II)M(II)(M=Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn)及びZn(II)M(II)(M=Co, Ni)ヘテロ二核錯体を合成して、金属イオンの位置選択性を構造解析、電子スペクトル、FABマス法等で明かにした。この成果を基にFe(III)Zn(II)錯体を合成してdi(p-nitrophenyl)phosphate→mono(p-nitrophenyl)phosphateの加水分解に成功した。これはFeZnリン酸ジエステラーゼの機能モデルの最初である。 (2)二つのフェノール性酸素を橋架け基としてN(amine)_2O_2及びN(imine)_2O_2金属結合サイトを有する大環状コンパートメント配位子を用いて、段階的鋳型反応を用いて、配位位置異性の関係にあるCu(II)M(II)及びM(II)Cu(II)(M=Co, Ni, Zn)錯体を合成した。これら錯体は分光学的、磁気的性質並びに電気化学的性質において異なり、溶液内でも安定で異性化しない。また電極上でも安定でCu(I)M(II), Cu(I)M(I), M(II)Cu(I), M(I)Cu(I)等の異常原子価錯体をバルク中に生成することを確かめた。更にはM(II)Ni(II)(M=Co, Ni, Cu, Zn)錯体を合成して電子構造を明かにした。大環状コンパートメント配位子のイミン結合部位に酸化還元活性な1,8-ナフタレン環を組み込むことによって、M(II)Cu(II)に配位子の酸化還元が連動した多電子レドックス系が創出された。 (3)ポリピリジン型二核化コンパートメント配位子の二核鉄(II)錯体がμ-1,2-ペルオキソ錯体を生成することを確認した。
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